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2019 年度 実施状況報告書

2000年代以降のひきこもり経験にみる家族主義の変容

研究課題

研究課題/領域番号 18K12949
研究機関立正大学

研究代表者

関水 徹平  立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (40547634)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードひきこもり / 家族主義 / 世帯責任
研究実績の概要

2019年度は、(1)ひきこもり経験者への聞き取り調査、(2)中高年のひきこもり状態の方への支援をおこなっている団体への聞き取り調査などをおこない、働きづらさを抱える人たちの所得保障とケア提供が世帯責任になっている家族主義的な現状について調査を進めることができた。
2019年度の研究活動からは、ひきこもり状態にある人たちが「困りごとを抱えているが相談できない・したくない」という状態にあること、その背景として(1)自己不信・コミュニケーションへの不安・支援への不信、(2)経済的な給付がなされる支援がほぼないこと、(3)限られた経済的な給付についても一定の世帯年収や世帯資産があると受けられないこと、などがあるといった知見を得ることができた。とくに(2)と(3)の支援制度にまつわる問題点は、家族主義(世帯責任)を強化し、ひきこもり問題を深刻化させているといえる。
2018年度、ひきこもり状態の子をもつ親の立場の方たちを対象に、ひきこもる子どもの扶養をめぐる現状や困難などについての聞き取り調査を実施したが、そこから得られたデータにもとづき、家族主義の現在を分析する論文を執筆した。そこでは、家族で何とかするしかないという家族の責任感、生活保護等の利用も親族扶養優先の原則に阻まれがちであり、家族の責任感とそれを強化する社会福祉制度とが、ひきこもり問題の長期化・深刻化に作用している面があることが確認できた。2019年3月に社会学系欧文誌に投稿した。現在審査結果を待っている状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画で予定していた学会報告は行なえなかったが、年度末に論文を投稿することができた。世帯責任を強化する支援制度について聞き取り調査を進め、ひきこもる状態にある人たちの現状や支援制度の課題について新たな知見を得ることもできた。これらのことから、おおむね順調に進捗していると考えている。

今後の研究の推進方策

2020年度は最終年度となる予定である。2019年度終わり頃からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度の調査等の実施には困難が生じることが予想されるが、過去2年間の調査データを精査し、家族主義を緩和するひきこもり支援制度のあり方について研究論文を執筆したい。

次年度使用額が生じた理由

2019年度中に購入予定だった図書を入手できなかったため。2020年度に購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 8050問題と日本型福祉社会――家族主義と雇用環境の変化から考える2019

    • 著者名/発表者名
      関水徹平
    • 雑誌名

      月間保団連

      巻: 1307 ページ: 18-23

  • [雑誌論文] 「ひきこもり大国」日本に必要な脱「家族主義」2019

    • 著者名/発表者名
      関水徹平
    • 雑誌名

      中央公論

      巻: 133(8) ページ: 138-145

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公開日: 2021-01-27  

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