研究課題
若手研究
本研究は、2000年代以降の企業福祉の縮小と家族福祉の経済的基盤の脆弱化という状況の中で、ひきこもり問題/ひきこもり経験の実態を明らかにする試みである。ひきこもりの子を持つ家族(父親)へのインタビュー調査からは、企業福祉が縮小する中で、家族に頼らざるを得ない我が子の生活を支え続けることの苦しさ、先の見えなさと共に、公的福祉が十分に機能していない状況が家族問題としてのひきこもり問題を深刻化させていることが明らかになった。
福祉社会学
2000年代以降、ひきこもり問題が8050問題へと深刻化していく背景に、日本の世帯単位の扶助を強調する社会保障制度の課題があることを、調査データに基づいて明らかにした。具体的には、(1)生活保護制度は、世帯単位&親族扶養優先の原則があるために、家族依存状態の子ども個人の生活を保障するセーフティネットとなり得ていない、(2)子が障害年金を受給している場合でも、受給金額の少なさと訪問サービスの不足のために、家族依存を解消するに至っていない。