今年度は引き続き海外現地調査が不可能であったことなどから、文献資料調査・分析と、オンラインを活用した研究会を進めた。 まず文献資料調査においては、昨年に引き続き(1)これまでの中国各地の文史資料委員会・党史研究室などが行った調査と公表されている成果の収集と分析、(2)中国で90年代初頭に日本軍性暴力の被害者が名乗り出た際の、当事者が出した手紙などの記録の収集と分析、(3)90年代中国の新聞報道の収集と分析を行った。 本年はこうした資料の整理がおおむね終わり、今後現地訪問が可能になった際に、中国の現地アーカイブスなどをあたって補完していくための方向性を立てた。 それに加えて、社会の被害者に対するまなざしを知るために、90年代当時の中国で出版された日本軍性暴力/性奴隷に関する一般書籍を渉猟した。こちらについても今後分析を進める。 また、最終年度の成果まとめとして、これまで日本、中国、韓国、台湾などで日本軍性暴力被害者の支援や、被害掘り起こしにかかわって来た研究者、支援者などとの研究会を、オンライン及び対面で実施した。 インタビューについても、オンラインで実施できるものについては実施した。また日本軍性暴力被害者の対日裁判で、通訳を務めた関係者など、新たなインタビュー協力者を得ることができた。日本国内在住のインタビュー対象者については対面でのインタビューを実施した。 これらの研究成果を元に、現在成果をまとめた書籍を準備している。
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