研究課題/領域番号 |
18K12957
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
平野 孝典 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (70803691)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自殺 / 非正規雇用 / 若者 / パネル調査 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
2020年5月に、2019年5月・11月に実施した調査の継続調査(第3波調査)を実施した。2020年5月時点において、第2波調査(2019年11月実施)の回答者1,113名のうち、143名が登録モニターを退会しており、調査は不可能であった。そのため、残りの970名に調査を依頼し、データクリーニングを経た後の最終的な有効回収数は、825ケースとなった。脱落率は25.9%であった。第2波調査の脱落率は51.3%であり、コロナ禍において回収状況が懸念されたものの、第2波調査よりも良好な回収結果が得られたといえる。第2波以降に自殺行動を経験した者の割合は自殺念慮:2.8%、自殺計画:1.3%、自殺企図:1.0%であった。 2020年度には全三回の調査の基礎集計結果をまとめ、分析成果の一部を国内学会にて報告した。基礎集計の概要は以下の通りである。第1波から第3波にかけて、調査対象者のうち63.9%が脱落していた。若年層を対象としたパネル調査においては、脱落率の高さが指摘されているが、本調査においてもそのような傾向が確認された。その一方で、調査協力者の性別・年齢・学籍別人口比に極端な変化はなく、基本的には「就業構造基本調査」(2017年)と同様の分布を示していた。以上の基礎集計については、『桃山学院大学総合研究所紀要』にて公表した。 上記調査で得られたパネルデータ(第2波・第3波)を計量分析することにより、親密な他者(家族・親族・友人)の自殺により、若者が自殺念慮を抱く危険性が高まることがわかった。この結果は、若年層において社会的紐帯を介した自殺の伝染が生じていることを示唆している。以上の知見については、福祉社会学会大会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、2020年度中に第3波調査を実施することができた。成果の公表も順調に進んでいるため、「当初の計画以上に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
収集したパネルデータの分析を進め、不安定な就労形態が自殺の危険性に与える影響を明らかにする。同時にサンプル脱落の要因についても分析を進める。主要な研究成果については、関連学会の大会・論文等で報告していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
不測の事態に備え、当初必要とされた調査費に余裕をもたせた額を申請していたため、若干の次年度使用額が生じた。次年度使用額については、学会参加費や文献購入費に充てる予定である。
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