研究課題
若手研究
非正規労働者の自殺行動の実態を把握するため、2019年5月から半年の間隔で3度にわたりパネル調査を実施した。2019年5月調査の分析から、非正規労働者の様々な形態のうち「雇用期間に定めのある労働者」は、正規労働者よりも、自殺念慮を抱きやすいことがわかった(男性のみ)。しかしながら、全期間のデータを分析したところ、非正規雇用と自殺念慮とのあいだに因果関係を認めることはできなかった。また、1年間の調査期間中に回答者が60%以上脱落するなど、自殺研究におけるパネル調査の課題も浮き彫りになった。
社会学、社会病理学
これまでの自殺研究では、非正規労働者の自殺行動の実態について、はっきりとしたことがわかっていなかった。本研究では半年間隔のパネル調査を3度実施することで、その実態を記述することができた。また、一括りにされやすい非正規労働者のなかでも、「雇用期間に定めのある労働者」が自殺念慮を抱きやすいことを明らかにすることができた。さらに、回答者の脱落率や自殺行動に関する項目の回答の正確性など、今後の研究に不可欠な情報も得ることができた。