研究課題/領域番号 |
18K12958
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
山本 直子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10817208)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 在日ブラジル人 / 第二世代 / トランスナショナリズム / SNS / 日本語支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、昨今の情報通信技術の発達による母国メディアやSNSの利用が、在日ブラジル人第二世代の社会編入のされ方に如何なる影響を与えるかを明らかにすることを目的とし、日本生まれ、もしくは6歳までに来日し日本で育っているブラジル人の若者を主な調査対象として研究を進めている。2018年度はフィールド調査及び聞き取り調査によりデータ収集を行うことに注力した。前半期は、関東周辺で主に大学進学を果たしたブラジル人第二世代への聞き取り調査及び資料収集を行った。また、9月、10月、3月には愛知県のブラジル人集住地におけるフィールド調査を行い、その中では、在日ブラジル人第二世代及びその家族に対しての聞き取り調査に加えて、宗教施設における参与観察や、宗教関連のイベント、教育関連のイベント、ブラジル人集住地区の町内会イベントに参加し、在日ブラジル人の若者のネットワークについて調査を行い、彼/彼女らの国内及びトランスナショナルなネットワークの様相についてデータ収集を行うことができた。さらに、公立学校や地域の学習支援団体の中で支援活動を行うスタッフに対する聞き取り調査も複数実施し、外国人支援の最新の動向を観察することができた。 後半期には、これまでに行った参与観察及び聞き取り調査によって蓄積してきたデータについて、第二世代の若者が築く国内のネットワーク及びトランスナショナルなネットワークの諸相、それらが日本社会への編入や大学進学へのモチベーションに与える影響について理論的検討を行い、3月末には、これまでに得られた知見を論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、初年度の計画としていた予備的な聞き取り調査と文献資料の収集を重視して研究を進めた。調査の過程では、当初予定していなかった宗教施設における定期的な参与観察も実施することができた。論文の執筆も順調に進んでおり、次年度には順次、書籍や学会等での報告を行う準備も整えることができており、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる次年度は、初年度の調査で得られた知見についてさらに本格的な調査を実施する。具体的には、日本生まれや、概ね6歳頃までに来日し日本で育った在日ブラジル人第二世代の若者の築くネットワークが実生活における人間関係へ与える影響の様相に着目してインタビューを中心とした調査を実施する。さらに、今年度に行った調査及び分析の結果を順次学会等で報告を行うことも予定している。学会等での他の研究者との議論の内容を踏まえたうえで考察をさらに深め、論文執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたフィールド調査1件が先方の事情により実施できなかったため、また、当初購入を予定していた統計分析ソフトの購入を次年度にまわたために次年度使用額が生じた。この分は、次年度の調査費用およびソフト購入費用として使用する予定である。
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