研究課題/領域番号 |
18K12960
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研究機関 | 九州共立大学 |
研究代表者 |
大和 裕美子 九州共立大学, 経済学部, 講師 (00779762)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 記憶 / 植民地支配 / 追悼碑問題 / 草の根 |
研究実績の概要 |
本研究は、現象の全体像を明らかにしながら、福岡県飯塚市の納骨型追悼碑「無窮花堂」に焦点を当て、「植民地支配を反省する記憶」を表象する追悼碑に否定的な人びとの意味世界を解き明かしながら、記憶が衝突する様相を描き出し、実態を探ることを目的としている。 前年度から今年度にかけて、産前産後の休暇・育児休業の取得に伴い、研究を中断することとなった。したがって当初の予定を大幅に変更することとなった。研究再開後の研究計画は、各地域の追悼碑問題の調査(建立経緯、状況、関係者へのインタビュー)を実施し、ひきつづき追悼碑問題に関する文献資料の収集を行いながら、福岡県飯塚市飯塚市営霊園内の納骨型追悼碑「無窮花堂」の調査を中心に行うことであった。2019年度の後半に研究を再開したあとに実施したおもな研究内容は、以下のとおりである。 1.文献資料の収集:歴史認識問題に関する文献、ヘイトスピーチに関する文献、その他在日コリアンを扱った文献を収集した。 2.国際シンポジウム:2019年12月に、慶北大学社会科学研究院主催国際シンポジウム「韓人ディアスポラのトランスローカルティ的生活とデータベース構築方案プログラム(邦訳)」にて、「追悼碑にみる朝鮮人の記憶の形成と葛藤:福岡県飯塚市無窮花堂を事例に(邦訳)」という題目で発表した。 3.シンポジウム:歴史問題の和解を考えるシンポジウム──市民の活動と行政との協働をめぐって(主催:科研費・新領域「市民による歴史問題の和解をめぐる活動とその可能性についての研究 代表・外村大)に参加し、講演とパネルディスカッションを聞いた。 新型コロナウイルス感染症の関係から、現地調査は実施できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴い、研究中断することとなったため、当初の計画に変更と遅れが生じている。また、フィールドワークの実施、インタビュー資料の入手などについては、新型コロナウイルス感染症のため、現地調査の実施が難しい状況となった。 そのため、今年度はおもに、先行研究の整理と、研究中断中に出版された文献の入手と整理を行なった。また以前に入手していたインタビュー資料の文字起こしや分析を行なった。インタビューについては長時間に及ぶものもあり、文字起こしに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究中断中に生じた出来事や変化をフォローしながら、すでに入手している一次・二次資料の整理と分析を進める。長距離移動を伴なわず、かつ本研究が事例とする「無窮花堂」に関する現地調査を優先的に行う予定である。研究当初に予定していた各地域の追悼碑問題のフィールドワークは、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、実施を検討する。また今年度は、論文としてまとめる作業に本格的に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の支出費目のうち、「その他」経費誤謬のため、戻入したもの。
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