研究課題/領域番号 |
18K12961
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原 めぐみ 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 助教 (90782574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 改正国籍法 / 国際婚外子 / 移民研究 / ヤングケアラー |
研究実績の概要 |
本研究は、改正国籍法により新たに日本国籍を取得した国際婚外子への聞き取り調査から、日本国籍取得がかれらの人生にどのような影響を与えたかを考察し、個人史における改正国籍法の意味を評価することを目的とする。個々人の人生において日本国籍取得がもたらした情緒的・社会経済的効果が当事者の主体的なwell-beingにいかに結びついているかを考察している。 初年度は、①理論的枠組みの検討と②複数地フィールドワーク調査を重点的に行った。 ①理論的枠組みの検討:本研究に必要な文献を収集し、理論的枠組みを確認した。社会学、法学、人類学、政治学を中心に国内外の移民研究の著書、論文などを分析的に読み、自身の研究の理論的枠組みの基礎固めを行った。フィリピンの統計管理機関、歴史資料館での資料収集も行った。また、国内学会と国際学会で発表し、国内外の研究者から助言をもらい、理論的枠組みのブラッシュアップに努めた。 ②複数地フィールドワーク調査:日本国内とフィリピンで現地調査を行った。特に移民支援団体や在日外国人コミュニティの集まりなどに参加し、参与観察を行った。インタビュー調査も実施することができた。特に支援団体が実施するプロジェクトに関わることによって、移民の子どもや女性たちが置かれている現状や課題について理解を深めることができた。 研究成果として、「ヤングケアラー」をキーワードに、日本に暮らす国際児の問題を分析し、問題解決のための個々人の実践と、支援組織の取り組みについて発表や執筆を行った。 国内学会で1度発表、国際学会で2度、国内外の研究会で5度の発表の機会があった。また、フィリピンにおける資料収集の結果をまとめ、本の一章として執筆した(2019年度発行予定)。そのほかにも、雑誌や機関紙に4本の論考を執筆した(内2本は2019年度発行予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査と複数地フィールドワーク調査については、順調に取り組むことができた。学会発表を行うことにより、どのような方向性で研究を進めるべきかを再考することができ、今後の共同研究の可能性なども模索することができた。 初年度は当初予定していた質問紙調査を実施できなかった。次年度には早々に開始する予定である。また、8月には別の科研費でフィリピンに渡航、9月、2月、3月も公務で海外出張が入ったため、タイでのフィールドワークは実施できなかった。
【5月】書籍、論文を分析。フィリピンでの文献調査および現地調査。【6~7月】国籍法や移民問題に関するシンポジウムやワークショップに参加。【9月】国内学会(日本社会学会@甲南大学)における研究発表。【10~11月】学会での助言を受け、理論的枠組みを修正するため、新たに文献調査。【12月】国際学会(JSA学会@ジャカルタ)における研究発表。【1~3月】インタビュー、資料整理、論文執筆。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2019年度は、先行研究からの文献調査に加え、国内調査と海外調査を本格的に行っていく。質問紙調査に関しては、10~20代の若者がアクセスしやすいようにウェブ形式で作成する。 3年目にあたる2020年度は、追加調査を実施するとともにデータを整理、分析していく。 最終年度は得られたデータをもとに学会発表と、投稿論文の執筆に専念する。また次年度以降の研究に向けて、発展的な研究プロジェクトを思考する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者として関わる他の科研プロジェクトでの海外出張や、公務による海外出張のため、当初の予定ほどフィールドワークに時間がとれなかった。そのため旅費や謝金などの支出が予定より減額した。 次年度は海外出張を三度予定しており、国内調査も回数が増える。そのためにかかる旅費および、現地調査でのインタビュー謝金、得られたデータの整理のための研究助手謝金などに使用する計画である。
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