研究課題/領域番号 |
18K12961
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原 めぐみ 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 准教授 (90782574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 改正国籍法 / 国籍 / 国際婚外子 / Japanese-Filipino |
研究実績の概要 |
本研究は、改正国籍法により新たに日本国籍を取得した国際婚外子への聞き取り調査から、日本国籍取得がかれらの人生にどのような影響を与えたかを考察 し、個人史における改正国籍法の意味を評価することを目的とする。個々人の人生において日本国籍取得がもたらした情緒的・社会経済的効果が当事者の主体的 なwell-beingにいかに結びついているかを考察している。 4年目にあたる2021年度、力を注いだことは、出張可能な範囲でのフィールドワークとインタビュー調査、そして研究の発信活動である。2020年度に引き続き、コロナ禍の影響を受け、フィールドワークを十分に実施することができない時期もあり、大阪でのフィールドワークにとどまったため、データ収集は予定通りに進まなかった。12名にインタビュー 調査を実施することができた。 成果の一つとして、コロナ禍の影響を受けた人々のwell-beingについて、論考することができた点である。平時には聞き取ることのできない語りをきくことができ、それを刊行物として出版できた。外国人の親の不安定就労が子どもたちの生活に与える影響は大きい。そして日本での生活を安定させるために子どもたちの日本国籍取得が鍵になっており、国籍法3条による日本国籍取得を目指す子どもや若者がコロナ禍を契機に増加することが予想される。 研究発信については、関連雑誌や専門情報誌など5件の記事を執筆し、3冊の本に原稿を提出した。また、講演依頼などを受け、一般向けを含む研究発表は10件に及んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度2021年度と、コロナ禍の影響を受けデータ収集が予定通り進まなかったため、全体的に進行が遅れている。そのため2022年度に延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染が落ち着いてきたとはいえ、経済的社会的混乱はまだ終息していないため、本研究の対象者におけるコロナ禍の影響について具に観察を続けていきたい。国際学会のための渡航は2022年度も難しいと考えるが、オンラインでの参加を検討したい。2022年度刊行予定の著書があるため、本研究の集大成として執筆したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、海外でのフィールドワークや宿泊を伴う出張ができなかったこと、学会発表等もオンライン開催になったため、旅費や学会参加費への支出がなかったことである。また、この科研費プロジェクト以外に、分担者になっている他の科研プロジェクトが複数あり、研究におけるエフォート管理ができなかったことも理由にあげられる。これは、自身の勤務時間の大半が本務校での教育活動に時間が割かれていることに起因する。 2022年度は、本務校での教育活動の比重を軽減させ、また他の研究プロジェクトとも両立できるようにし、最終年度であるこの科研プロジェクトを最優先に遂行させていくつもりである。
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