研究課題
地域包括ケアを構築するための介護・医療関連情報の「見える化」も自治体に浸透し始めており、地域診断の重要性も広く認識されてきた。しかし、地域診断の重要性は認識されてきているものの、地域診断の結果を住民と共有する方法には課題があり、居住地域の健康格差が見逃されている可能性がある。そこで本研究では、地域診断の結果を一般の高齢者に説明し、結果を共有するためのツール「Community Diagnosis Share Tool(以下CDST)」を試作して、地域診断結果を共有するワークショップ(以下WS)を行い、その中で見えてきた本ツールの活用上の利点と今後の課題について明らかにした。昨年度までで試用版は完成し、本年度は本学の学生と1つの自治体に協力を頂き、試用版を完成版とするためのプレWSを行った。WSの目的は、高齢者が住み続けることができるまちづくりのために、地域診断マネジメント支援システムを使って、まちの「強み」、「弱みを」具体化することで、今後実施すべき施策を決定する機会とするためである。CDSTを用いて、WSを行ったところ、地域診断指標の内容が頭に入ってきて使いやすいという意見が複数挙がった。試行版のトライアルでは、CDSTのシートに状況がイメージしやすいイラストがついていることで、地域診断指標に興味が湧きやすくなったという意見もあったが、逆にイラストにイメージが引っ張られてしまうという意見もあったので、その欠点を克服するために、健康や介護予防についてのイメージを先に参加者同士でブレインストーミングをしてもらった後に、生活課題について参加者自身にイラスト化してもらったものをグループで共有してから、事前シートの作成をお願いしたので、昨年度までの課題を克服することができた。次年度は完成版のCDSTを用いて、研究協力自治体にて、WSを実施し、効果検証を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
今年度は実態調査の結果を分析し、関係者内で分析結果を共有して、研究会を実施した。コロナ禍の影響がまだ残っており、計画していたワークショップは次年度に延期になったが、研究はおおむね順調に進展している。
今後は本研究で作成したツールを用いて、2回程度研究協力自治体とワークショップを行い、効果検証を行う予定である。
新型コロナの影響がまだ残り、研究の打合せとワークショップが中止になり、出張旅費が軽減されたため、次年度使用額が発生した。次年度使用額の使用計画は、年2回の打合せのための出張旅費、研究協力自治体での2回のワークショップ開催のために使用する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
東海公衆衛生雑誌
巻: 11 ページ: 152~158
10.24802/tpha.2023-13
Archives of Gerontology and Geriatrics
巻: 115 ページ: 105109~105109
10.1016/j.archger.2023.105109
BMJ Open
巻: 13 ページ: e066349~e066349
10.1136/bmjopen-2022-066349