研究課題/領域番号 |
18K12976
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
松本 一郎 大正大学, 社会共生学部, 准教授 (30459961)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貧困低所得高齢者 / 最低生活費 / ナショナル・ミニマム / 貧困率 |
研究実績の概要 |
1990年代以降、貧困低所得者の増加や所得格差の拡大が社会問題となる中、見えにくい貧困の実態を正確に把握するための最低生活費と貧困率の適切な算定方法の確立が求められている。最低生活費と貧困率は貧困対策の重要指標となり、生活保護法や生活困窮者自立支援法の運用、他の貧困対策の政策形成過程にも影響を与える。そこで本研究では、総務省『全国消費実態調査』等の匿名データを使用し、貧困率の高い高齢者を対象にして、独自の実態生活費方式により最低生活費と貧困率を算定し、貧困低所得高齢者の生活実態や分布を明らかにしているところである。その上で、少子高齢化や人口減少が進む先端的地域を事例として、地域特性を考慮した生活実態を把握し支援のあり方を探究している。2021年度は、独立行政法人統計センターに全国消費実態調査の匿名データや講評されている集計データについて、貧困低所得者に焦点化して、先行研究や全国消費実態調査集計データを使用し、世帯類型、雇用状況、住居形態、家計収支、資産保有に着目しながら、最低生活費を消費支出の各費目に着目し詳細に検討している。さらに、事例調査および行政資料・歴史資料収集を行い、横浜・寿町での実地調査、地域性や地域住民の状況について把握と情報整理、支援のあり方の探求を行った。また、貧困率とジニ係数の国際比較、日本社会の経済状況、社会的孤立についても検討し、多角的に探究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
独立行政法人統計センターから入手した全国消費実態調査の匿名データを利用し、低所得者に焦点化して、最低生活費に関わる消費支出の各費目を詳細に検討しているところである。また、研究開始以降、事例調査および行政資料・歴史資料収集に関して、横浜・寿、岩手県、栃木県を訪問し、地域性や地域住民の状況について把握と情報整理、調査票の設計を行っている。また、先行研究や関係資料を分析しているところである。しかし、2020年2月以降現在まで、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、自粛要請、非常事態宣言があり、出張調査が行えない状況が続いている。行政資料等他の資料で補っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度が本研究の最終年度であったが、申請により2022年度末まで延長をすることができた。更に先行研究や関係資料の収集と分析を進めつつ、最低生活費研究、貧困率算定に関して、世帯類型、雇用状況、住居形態、家計収支、資産保有に着目しながら、最低生活費を消費支出の各費目に着目し詳細に検討する。その際、経年の変化や構造的要因にも着目して分析を行う。事例調査および行政資料・歴史資料収集に関して、横浜・寿町、東京・山谷、岩手県、栃木県を出来るか限り訪問し、地域性や地域住民の状況について把握と情報整理、調査実施をしていく。場合によっては、調査可能な範囲に限定し、他の資料を使いながら、あるいは調査地域の重点化も必要と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度調査の一部を見合わせ、他の調査に重点をおいたが、予定していた旅費・謝金等が一部支出できなかった。2022年度に調整し調査を遂行する。
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