研究課題/領域番号 |
18K12977
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
岩田 千亜紀 東洋大学, 社会学部, 助教 (40801478)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 発達障害圏の母親 / 解決志向 / ストレングス / 協働 / グループワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、特に養育困難を持つ高機能自閉スペクトラム症(HF-ASD)と診断された母親またはその疑いのある母親に対する解決志向型(SFA)グループワークを実施し、その有用性を検証し、さらにSAFグループワークの支援機関への普及を行うことである。 今年度については、HF-ASDと診断された母親を含む発達障害圏の母親6名を対象に、SFAグループワークを計3回実施し、評価を行った。評価に当たっては、標準化された心理尺度である「アウトカム評価尺度(ORS)」と「グループ・セッション評価票(G-SRS)」を用いたほか、ゴールアテイメント尺度(GAS)を用いた。 ORSを用いた評価の結果、SFAグループワークは、発達障害圏の母親に対して良い変化をもたらしたということが、統計的にも確認された。さらに、G-SRSを用いた評価結果から、SFAグループワークは発達障害圏の母親にとってニーズに合致したものであり、目標を作ることは自分にとって効果があり、グループの中でサポートされ理解されていると感じたことが分かった。それらの効果を発現した要因として、「グループにおけるグループ・ダイナミクスの力」、「SFAグループワークに特有のグループ・ダイナミクスの力」、「SFAグループワークに特有の参加者とファシリテータの協働による力」の3つが挙げられた。また、従来型の支援では対応の難しかった、支援を自ら求めることがない発達障害圏の母親に対するSFAグループワークの有効性について検討を行った。さらに、SFAグループワークの実践課題として、ファシリテータ育成のための研修の必要性などが挙げられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、発達障害圏の母親を対象とするSFAグループワークを都内の「子ども家庭支援センター」や「子育て世代包括支援センター」の協力を得て実施し、有効性を検証する予定であった。しかし、それらの機関の協力を得て実施することが難しく、調整に時間を要した。そのため、グループの参加者を当事者会を通じて応募するなど、当初計画を変更することとなり、進捗に遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで行った発達障害圏の母親を対象とするSFAグループワークについての実施テキスト(またはマニュアル)を作成し、テキストを用いたSFAグループワークを実施し、テキストについての有効性の検証を行う予定である。具体的には、発達障害圏の母親を含む成人発達障害者を対象としたSFAグループワークを実施し、参加者との協議やグループワークの結果を基に、テキストの妥当性について検証を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、研究が計画よりも遅延したため、当初予定していた発達障害圏の母親を対象としたSFAグループワークの実施テキストの作成および検証ができなかったためである。 今後は、SFAグループワークの実施テキストの作成および検証を行う予定である。
|