研究課題/領域番号 |
18K12984
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
安藤 佳珠子 長崎国際大学, 人間社会学部, 講師 (80804301)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ひきこもり / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
今年度も昨年度から引き続き、ひきこもりの若者をもつ家族に対するグループワークを実施し、家族のエンパワメントとソーシャルワーク過程について、参与観察を行った。昨年、家族はグループのなかで、変容することへの怖れを共有することで、自らの今を受け止めようとする発言がグループ内で頻繁に確認できるようになった。さらに、ひきこもっている子どもの様子についても、客観的な状況を伝えることともに、その際の自らの思いも説明するといった場面も見られるようになった。 また、家族へのアプローチのみではなく、ひきこもりの若者に対するソーシャルワークの方法論については、理論的検討を行った。家族のグループにおいては、葛藤を取り扱うなかで、家族のエンパワメントが確認されていることもあり、ひきこもりの若者に対するソーシャルワークにおいても、当事者の葛藤に焦点を取り扱う可能性があるのではないかと考えた。吉川(2001)もひきこもりの若者支援において、葛藤の経験を重視している。この葛藤の経験によって、「自分らしさ」が形成されるとしている。この理論を背景として、ひきこもりの若者の葛藤を保障するためのソーシャルワークについて理論的検討を行った。 これらの結果については、2019年6月8日市民向けの講座、および8月8日長崎国際大学社会福祉学会での報告、8月21日に長崎市保健センターでの講座、9月21・22日日本社会福祉学会などでの報告として報告した。また、博士論文の一部に、本研究の成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年8月に、次年度以降の所属機関の移動が決定したため、実施していたグループワークが次年度以降継続的に実施することが困難な状況となった。グループワークにおいて、調査の実施を予定していたが、グループワークの縮小や終結に時間を割くことになり、予定していた調査実施ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年4月に新たな所属機関に移り、これまで調査を予定していた対象者では、物理的にも金銭的にも制限が生じてしまうため、新たな調査対象の選定から始める予定である。調査対象の事業所は、ひきこもりの居場所、通信制高校、中間就労を予定しており、また対象者としては、ひきこもりの若者、家族、支援者としている。これまでの結果については、日本社会福祉学会において報告し、論文として提出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年8月に、次年度以降の所属機関の移動が決定したため、当初予定していた調査等が実施できなくなったため、購入予定であったNvivo等の購入が見送りとなった。次年度は、Nvivo等のデータ分析ソフトの購入や、調査にかかる人件費等が発生する予定である。
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