研究課題/領域番号 |
18K12986
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
仁科 伸子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30707683)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コミュニティ / ビレッジ・ムーブメント / ビーコンヒル / 高齢者就労 / 地域課題解決型組織 / 社会的企業 / 就労創生 / 住民の主体形成 |
研究実績の概要 |
アメリカでは「福祉から就業へ」の社会福祉改革以降、多様な形で就業支援プログラムが導入されてきているが、コミュニティ・オーガニゼーションという住民主体化のプロセスの中で導入されていることの意味、効果、及び理論的位置づけを解明していく必要がある。現在シカゴ近隣地域の中で36地域が地域再生に関与しており、うち22地域が既に地域再生プログラムを立案している。このような地域は、失業率が高いことから、「就労支援」や「就労の場の開発」は大きな課題である。近年、再生プログラムにおいて、ワークフェア、中間就労、社会的役割の付与といういくつかの就労支援プログラムが導入されている。これらのプログラムは、地域住民をも対象としており、社会的に排除された層や一般就労が難しい人々のみを対象としているわけではない。 本研究では、就労プログラムを導入している近隣地域における「就労」プログラムの対象、内容、位置づけ、及び成果についての基礎的研究を行うことを目的としている。本研究の最終目的は、高齢化が進む日本におけるコミュニティ援助プログラムと技術の向上に寄与することである。 近年アメリカではボストンのビーコンヒルをモデルとしたビレッジムーブメントに関して調査を実施した。この活動は、住み慣れた地域に住み続けるため、高齢者自身による支援組織の立ち上げと事業化を特徴としている。このビーコンヒルをモデルとして、全米300か所のビレッジができている。就業の形態は、ボランティアがほとんどであるが、有給のコーディネータを配置し地域で必要なサービスの開発、ボランティアと利用者のコーディネート、ミーティングや行事の企画などのサービスを展開している。大きな需要があるのは、買い物や銀行などに行く際の送迎である。中心となって活動している人々はソーシャルワーク関係者が目立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、アメリカを中心とした研究であるが、2020年2月以降Covid19の流行により渡航による調査が制限されているため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染の状況が改善するまでの間は、国内から調査可能な内容と研究によって進めていく。本研究は、フィールドワークを中心とした研究であるため、遠隔地からのアプローチは非常に困難である。今後当面の間国内からアプローチ可能な研究として、アメリカ政府、及び、州による就労支援政策とコミュティにおける就労支援策の関係性を明らかにしていく。シカゴで調査対象となっている地域の分析を行い就労支援事業を分類する。地理的分類及び、地域の特性を重ね合わせた分析を実施する。また、ビレッジ組織の活動の実態に関する文献研究を行う。さらに、カメラ付きパソコンなどを使用して現地の活動状況をヒアリングし、かつ、調査する。危機に瀕した場合のコミュニティ活動の状況を把握することも重要である。今後、新型コロナウィルス感染の収束状況をみて、現地調査を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス流行のため、アメリカへの渡航が大学によって制限され2020年3月の研究が実質的にできなかったため。
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