アメリカでは、クリントン政権によって導入された「Welfare to Work」への方針のもと、長期的な給付制度は打ち切られ、「就労を目指すことを前提とした給付が行われるようになった。就労支援の中でも特に教育に力が入れられるようになり、パワーレスな状態から就労可能な状態になるように支援することが、生活保護受給者への給付の大前提となったのである。 本研究では、コミュニティレベルでの就労支援について研究を行った。研究の結果は以下のとおりである。まず、コミュニティレベルでの活動の主体は、すべて民間の非営利組織で、自由な意志と意思決定権を有するにもかかわらず、クリントンが示した「Welfare to Work」の方針に則った事業が2000年以降増加している。 中間支援組織の成り立ちは、Community Development において、行政による計画と住民の意思との相反性を経験していくうちに、住民の意思に基づくハウジングを実現するための資金調達の手段として生まれた。したがって、住民や地域のニーズを反映できるヒモ付きではない資金調達を目指していると考えられる。この資金源は、助成財団と呼ばれる大企業の利潤の一部を税金として納める代わりに、自らが望む地域や、目的に対して再分配するものである。しかし、これらの民間の資金もまた、2000年以降、就労支援や教育事業への資金提供を重点とする方法に変化していっている。 コミュニティ・レベルでの研究結果は以下の通りであった。実施主体はコミュニティ・エージェンシー及びそこに働くプロフェッショナルなコミュニティ・オーガナイザーやエージェントが失業者や生活困窮者の支援を行っている。資金源は、寄付、助成財団からの資金提供などである。コミュニティごとの特性に合わせて、様々な支援活動が展開されている。特徴的なのは刑余者支援と女性支援の多様性である。
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