研究実績の概要 |
最終年度では、認知症発症リスクが高い会員がどの程度存在するのか確認したうえで、センターでの安全対策の必要性を検討した。 調査は2021年に首都圏A市センターの全会員(2,350名)に実施した。本分析では回収された764名(回収率32.5%)のうち、必要な変数に全て回答した291名を対象とした。認知症発症リスクは、Linら(2018)の「認知症のリスク評価スコア(62点満点)」を基に調査票で把握できなかった「肥満(3点加算)」の判定を除いた59点満点で算出した。 対象者のスコアの分布は男性0-9点16.3%、10-19点50.5%、20-29点27.4%、30-39点5.8%/女性0-9点28.9%、10-19点44.6%、20-29点24.1%、30-39点2.4%であった。男女ともに40点以上の会員は見られず、スコアの平均点は女性(13.5±8.1点)よりも男性(17.1±7.3点)の方が有意に高い結果であった(t検定p<.001)。 4年後の発症割合が34%以上となる40点以上の会員は存在しなかった。しかし、13~30%のリスクを持つ30-39点の会員が少なからず就業していることが明らかとなった。本分析では回収率が低く、認知症発症リスクを持つ会員の割合が低く見積もられている可能性もあることから、センターでは認知機能低下に伴う安全就業対策や高齢会員へのサポートを整備していく必要があると考えられた。 なお、本分析結果は第64回日本老年社会科学会での発表が内定している。
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