研究課題/領域番号 |
18K12990
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研究機関 | 社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター |
研究代表者 |
藤生 大我 社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター, その他部局等, その他 (90812115)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知症 / 介護者 / ポジティブ心理学 / 介護肯定感 / 介護負担感 / ポジティブ日記 / BPSD |
研究実績の概要 |
本年度は認知症家族介護者がポジティブ日記を書くことの効果研究を中心に実施したため、その経過を報告する。 認知症家族介護者は、無作為に介入群と対照群に割り振られ、介入群はポジティブ日記を4週間実施した。対照群は一言日記(朝・昼・晩の食事の記録)を4週間実施し、その後、倫理的配慮として任意でポジティブ日記を実施した。 現時点で、介入群では家庭の事情による脱落1名を除いた10名、対照群では10名の認知症家族介護者が介入を完遂した。年次モニタリングとして、ベースライン評価のJ-ZBI_8(介護負担感)を共変量とした反復測定の共分散分析を行い、Bonferroni法による多重比較検定を実施したところ、介入群と対照群の間でCES-D(抑うつ)、J-ZBI_8(介護負担感)、WHO-5(主観的QOL)で有意な交互作用を認めた。介入群ではCES-D(抑うつ) が14.8±6.8から8.5±1.5点(p<0.003、効果量r=0.80)、J-ZBI_8(介護負担感)が16.5±6.8から10.6±4.1点 (p=0.016、r=0.64)、WHO-5(主観的QOL)が12.3±5.1から17.6±4.9点 (p=0.004、r=0.79)へと有意に改善した。また、有意な交互作用は認めなかったもののNPI-D(BPSDへの負担)とNPI-Q(認知症の行動・心理症状;BPSD)は、介入群で有意な改善を認めた。一方、対照群では有意な変化は認めなかった。さらに、介入群10名のうち9名 (90%)がポジティブ日記を実施して「良かった」、8名(80%)が今後も継続したいと「思う」、6名(60%)が介護に「良い影響があった」と回答していた。 以上より、ポジティブ日記は介護負担感、抑うつ、主観的QOLの改善に有効なことが示唆された。また、介護に影響を与えており、BPSDの改善にも寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次モニタリングの結果、想定よりも高い効果量を示す可能性が示唆されたため、必要対象者数を再検討する。検討の結果によっては、予定より早期にリクルートが終了となる可能性があるため。
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今後の研究の推進方策 |
必要対象者数を再計算後、今後のリクルート継続の有無を決定し、解析に移行する予定である。最終的には、記載内容と効果の関連も検討し、原著論文を執筆する。また、それらの結果を反映した「ポジティブ日記」を完成させて無料公開・配布する予定である。
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