本研究では「行動評価支援ツール」を開発・実装し、多様な児童福祉施設等の職員における記録・分析作業に費やす時間や負担感を低減しながら、外部支援者な しで職員の支援行動の適切な実行および利用者の支援目標の達成を促進するか明らかにすることを目的とする。 2019年度は、2018年度に実施した行動評価支援ツールのプロトタイプを用いた記録負担低減に関する研究結果をもとに、行動評価支援ツールの改修作業を行った。特に、2018年度の研究実施時に研究協力者となった児童福祉施設職員からさらなる改修が必要と指摘された、記録結果の分析機能の改修に注力することで記録結果を簡便に分析できるようにした。具体的には、記録結果を設定された標的行動ごとにグラフ化する機能を実装することで、児童福祉施設において求められるコミュニケーション、身辺自立、学習活動など幅広い目標に行動評価ツールを適用できるようにした。これらの改修結果をもとに行動評価支援ツール「ポジティブカルテ(ぽじかる)」を完成させた。 また、研究成果の学術界における発表として、2018年度に実施した研究の成果を2019年8月に日本行動分析学会第37回大会若手研究者口頭発表で発表し、発表内容が高く評価され、第3回若手研究者優秀発表賞を受賞した。加えて、日本特殊教育学会第57回大会において、行動評価支援ツールを用いた研究に関する招待講演を行った。これらの研究発表により、本研究の成果の社会還元に寄与した。
|