研究課題/領域番号 |
18K12992
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大村 美保 筑波大学, 人間系, 助教 (60641991)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障害者 / 高齢者 / 施策システム / 支援ニーズ / アウトリーチ |
研究実績の概要 |
本研究は、障害分野と高齢分野との間で横断的な支援ニーズに着目し、高齢障害者の実態把握及びサービス提供状況に関する研究、及び高齢分野(地域包括支援センターが中心)と障害分野(障害者相談支援事業が中心)の地域でのアウトリーチに関する比較研究から構成される。 3年目となる本年度は、①在宅障害者について健康状態の変化の把握と早期治療を可能とするための健康診断の実施状況調査、及び②生活介護事業所における高齢障害者の在籍状況と支援ニーズ調査について人間系コロキアム(2020年7月)、2020年度障害科学学会(2021年3月)において2年目の研究成果の発表を行った。研究成果を踏まえて、2019年7月に共著「親なき後をみんなで支える」、2021年3月に共著「障害者支援のための相談支援専門員連携ハンドブック」を刊行した。 高齢障害者の実態把握に関わり、全国の特別養護老人ホームにおける知的障害者の生活実態に関する実態調査の準備を開始した。また、アウトリーチ活動を行う実践現場が高齢・障害問わず新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けており比較研究が困難であると想定されたことから、知的障害者が高齢期になってからのケアにおいて海外で有効性が示唆されるライフストーリーワークに関する文献検討を開始した。高齢・障害を問わない地域の居場所づくりに関する実践を開始するフィールドへの指導・助言を行うとともに、今後の研究協力を依頼した。 新型コロナウイルス流行下で人口10万人以上基礎自治体における見守り活動の実施状況を調査したところ、回答のあった103自治体のうち、訪問や見守りについて何らかの対応をとっていたのは37%と限定的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目、2年目に行った調査結果を踏まえた研究成果の報告や、共著での書籍の刊行など、研究成果を公表して社会に還元することができた。 一方で、新型コロナウイルス感染症流行の影響により研究遂行に遅れが出ている。特に、障害者及び高齢者を対象としたアウトリーチ活動や居場所活動の大多数は閉鎖や中止を余儀なくされており、それらを対象に研究を行うことができなかった。今年度は実施計画を変更し、人口10万人以上の市町村の障害福祉部局に対してアウトリーチ活動に関する質問紙調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
3年目に行った研究成果の公表を行う。 当初計画において予定していた高齢・障害分野のアウトリーチ活動の比較研究においては、次年度も新型コロナウイルス感染症の影響を受けると想定される。そこで、4年目の研究においては、当初計画の柱の一つであった、高齢障害者の実態把握及びサービス提供状況に関する研究として、特別養護老人ホームにおける知的障害者の生活実態に関する実態調査を企画・実施する予定である。また、もう一つの研究の柱である高齢・障害に横断する支援ニーズに関しては、知的障害者が高齢期になってからのケアにおいて海外で有効性が示唆されるライフストーリーワークに関する文献検討に切り替えて研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては、アウトリーチ活動を行う団体への調査を実施することができず、旅費及び物品費を使用しなかった。次年度では以下を予定している。学会発表を行うための旅費・物品費を使用する。特別養護老人ホームにおける高齢知的障害者の生活実態調査(郵送調査・インタビュー調査)を実施する予定であり、調査票の印刷製本、郵送、回収した調査票の入力・分析、インタビュー実施に伴う謝金・旅費を執行する。ライフストーリーワークに関わる文献を収集するため物品費を執行する。
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