児童福祉施設で抱える児童間性的問題行動への介入における、スタッフの介入スキルに関するトレーニングの開発を行うため、児童福祉施設と連携しながらトレーニングのあり方について検討した。最初に、実態およびニーズ調査を行い、その結果に基づいたパイロットトレーニングプログラムを構成した。パイロットプログラムの実施とその効果測定を行った結果、「職場内ソーシャルサポート」の改善が認められた。複数の機関における実態調査で共通して明らかになった「性的問題行動に関する基礎知識」の不足および、「基礎的対人コミュニケーションスキル」については、スタッフトレーニングによって向上することが予測されたが、スタッフトレーニング有意な向上はみられなかった。 また、現場スタッフのインタビューを通じて、本研究プロジェクトの対象としていた児童福祉施設だけでなく、児童・思春期病棟を有する精神科病院においても、子どもの性的問題行動への介入については、スタッフトレーニングの必要性が浮き彫りになった。そこで、児童福祉施設と同様の課題状況である精神科病院にも対象を拡大し、改めてニーズ調査を実施した上で修正を施したスタッフトレーニングを実施した。その結果、「性的問題行動に介入する不安」の改善が認められた。 研究プロジェクトでは、子ども間性的問題行動の介入に不足している要素を補強するスタッフトレーニング内容を構築してきたが、最終年度においては、スタッフの困り感および、スタッフがトレーニングに望むトレーニングスタイル・方法を全国調査において明らかにし、最終的なスタッフトレーニングを構築した。 今後、性的問題行動に対する初期対応や既存の治療・教育プログラムの有効な取組みのため、本研究で開発したスタッフトレーニングを組み合わせることの啓発が今後の課題である。
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