研究課題/領域番号 |
18K13002
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
田中 紗和子 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (90732850)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 関係性 / 作業 / 地域福祉 / 開発途上国 |
研究実績の概要 |
2018年度に引き続き、地域社会における人々の関係性(ソーシャルキャピタル)を明らかにすべく人々の関係性と作業療法における「作業」に関わる文献調査を継続している。作業療法関連の文献調査より、人々の関係性を分析する視点として、作業を介した空間へ着目している。並行して、ソーシャル・キャピタルをはじめ、社会福祉、教育、人間発達など他分野における関係性に関わる文献調査を行うことで分析枠組みを構築している。文献調査の一部は、第54回日本作業療法学会にて発表を予定している。フィールド調査として、2019年6月17日~7月2日(16日間)、中米ニカラグア共和国において参与観察およびインタビュー調査を実施した。千葉県における居場所づくりの活動および福島県における手芸クラブにおいても参与観察を継続している。ニカラグア共和国における調査では20~60代の障害のない49名に対してインタビュー調査を行い、調査対象地域住民の障害者に対する意識や障害者の生活実態の一端を明らかにした。調査協力者は、日常的に障害者を目にする機会があり、障害者を当たり前の存在として捉えている人が多かった。そのうち2名が物乞いをしながら生計を立てる障害者に出会っており、3名が「寄付を求めて店に来る障害者がいる」と話した。その際、障害者は寄付や面倒をみてくれる人の家や店を選択的に回っているということが分かった。一方で「(障害者を最近)全く見ていない、覚えていない」と返答した人の中には、障害について全く関心がない場合と、話し始めると障害者に関する様々な情報を思い出す場合の2パターンがあった。本フィールド調査については、2nd COTEC-ENOTHE CONGRESS 2020にて発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、文献調査において、本研究において人々の関係性を分析する視点がより明確になった。また、ニカラグア共和国におけるフィールド調査を実施することができた。一方で、本研究における関係性をみるための分析の枠組みの構築がいまだ途上であるため、フィールド調査においても、人々の関係性を分析する前段階として、インタビューから地域住民の障害者に対する意識や障害者の生活実態の把握に留まっている状況である。よって、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における関係性分析の枠組みを構築する(ソーシャル・キャピタル、社会福祉、地域福祉、教育、人間発達、開発学、心理学、公共性議論、居場所論などに関わる文献調査)。作業と人々の関係性に関わる文献調査についての論文を投稿する。2019年度ニカラグア共和国における調査結果の分析をする。次回フィールドワークの調査計画立案、可能であれば実施する。コロナウイルス流行による影響のため、フィールドワークの実施が困難となる場合は、関係性分析の理論的枠組みおよび分析枠組みのための文献調査の対象を広げて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、フィールド調査の際、公共の休暇期間(ゴールデンウィーク、夏季、正月など)を回避した時期に行くことが出来た、且つ、現地の宿泊について、ホテルではなくホームステイをした。また、所属学会や参加した学会セミナーが関東近辺であったため、費用を安価に抑えることができ、次年度使用が生じた。2020年度は、本来であれば、ニカラグアへのフィールド調査、新潟で開催される第54回日本作業療法学会発表、チェコで開催される2nd COTEC-ENOTHE CONGRESS 2020での発表にかかる費用に使用することを検討していたが、インターネット上での開催もしくは延期や中止となることが考えられるため、状況をみながら用途を検討する。
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