研究課題/領域番号 |
18K13002
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
田中 紗和子 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (90732850)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障害 / 人間関係 / 地域 / 作業活動 / 地域福祉 / 作業空間 |
研究実績の概要 |
障害とソーシャル・キャピタルについて、作業と人々の関係という視点から研究を進めている。2020年度は、障害のある方を対象とすることの多い日本の地域作業療法における作業と人々の関係に関する文献調査を中心に行った。調査結果の一部は、第54回日本作業療法学会にて発表を行った。また現在、学術誌への論文投稿の準備を進めている。 文献調査では、「作業」を、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為,「作業活動」を、対象となる人々にとって個別的な目的や価値を含まない心身の活動、また、作業活動を介した人々の関係が生じている空間全体を「作業空間」と定義し、地域における作業活動の役割を分析した。その結果、地域における作業活動には「人々と地域社会をつなげる」「地域の活性と支えあう社会の構築に貢献する」という役割があるため、作業空間には、支援-被支援のような一方向の関係だけでなく、生活背景の異なる参加者間の立場が状況に応じて変化しうる関係が存在していた。このような作業活動を介した人々の関係が生じる作業空間において、時間や感情を共にする経験の積み重ねは、個人の生活に意味をもたらすと同時に、家庭的で落ち着けるような、個々にとっての居場所を生成していたことが明らかになった。 2019年度に行ったフィールド調査の結果を2nd COTEC-ENOTHE CONGRESS 2020にて発表予定だったが、COVID19の影響で学会は中止となったため叶わなかった。同様に、2020年度予定していたフィールド調査も中止となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19の影響により、参加予定であった学会が中止となったため。同様に、海外でのフィールド調査ができなかったため。当該年度中に出産したため。
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今後の研究の推進方策 |
文献調査およびフィールド調査から、障害と人々の関係(ソーシャルキャピタル)について、作業活動を介した人々の関係に着目して分析を続ける。 引き続き、COVID19の影響による外出自粛が想定されるため、調査フィールドを日本国内へ変更する。インタビューを実施する場合は、状況に応じてオンラインで行うことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、出産とCOVID19の影響により、フィールドワークがほとんどできなかったこと、参加予定であった国際学会が中止となってしまったため、その参加費および旅費の支出も無かったため次年度使用額が生じた。 次年度は、国際学会参加費、フィールド調査、オンラインでインタビューなどを実施するための物品などでの使用を計画している。
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