研究課題/領域番号 |
18K13002
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
田中 紗和子 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (90732850)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人々の関係 / 作業 / 地域 / 共生社会 / 場 |
研究実績の概要 |
障害とソーシャル・キャピタルについて、作業と人々の関係という視点から研究を進めている。昨年度に引き続き、文献研究を主に行った。 一昨年度より手掛けていた学術論文が採択された。2022年「地域における『作業』を介した人々の関係形成―作業療法の動向をめぐる文献調査から―」日本福祉大学大学院『福祉社会開発研究』51‐59。本論文は、地域における支え合いの基礎となる「人々の関係」に着目し、地域における作業療法での作業の特徴と役割を明らかにすることを目的とした文献調査を行った。分析では、実施場所ごとの作業療法実践の比較から、近年の作業療法の動向を把握し、地域における作業療法での作業の特徴と役割を明らかにした。その結果、日本では、高齢化社会を目前に控え、2000年代以降、病院・施設から地域生活へと支援の中心が移行しており、それに応じて作業療法の対象や領域、手段も多様化し、実践の場も病院・施設から地域へと拡大していることが示唆された。地域における作業療法では、障害の有無や立場に関係なく参加者が共に作業を展開する場づくりが多く行われていた。作業は、共通の話題や共感の対象となることで、自然な交流を促すという特徴を生かし、人々の関係や、意識と行動に変化をもたらす役割をしていた。また、作業を介して時間と場所を共有することの積み重ねは、支え合う関係や心の拠り所となるような場の変化を生みだしていた、ということを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、文献研究の成果を論文として発表することができた。一方で、COVID-19および、自身の仕事などの変化により、今年度も海外での現地調査は行くことができず、国内での現地調査も十分にはすることができなかった。また、参加予定だった学会が再び延期され、今年度も学会発表を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も海外での調査は現実的に難しいことが予想されるため、日本での調査を進めることとする。今年度まとめた文献調査の結果を踏まえ、来年度は参与観察を続けている居場所支援の関係者へのインタビュー調査を行う。インタビューは、活動の企画運営を担当している参加者へのフォーカスグループインタビューおよび、参加頻度が高く、調査に協力が得られる者への非構造的インタビューを予定している。 得られたデータについては、分析作業と論文執筆を進める。研究最終年度でもあり、予定している調査の遂行と研究成果の発表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算計上していた海外での調査研究、学会参加ができなかったため、次年度使用額が生じている。 今年度は、オンラインでの国際学会参加、調査に必要な物品購入、国内での調査や学会参加に使用する。
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