研究実績の概要 |
本研究の目的は、最低賃金の引上げが公的年金の給付と財政状況に与える影響を量的に推 計することである。研究初年度である今年度は下記の研究課題に取り組んだ。 研究課題①:公的年金と最低賃金の制度的関係整理 研究課題②:公的年金の給付と財政状況に関する先行研究のサーベイ 2つの研究課題を検討した結果、現在の公的年金改革は、最低賃金相当の賃金水準にある非正規雇用労働者が厚生年金への加入となるよう制度改正が検討されていること、最低賃金相当の労働者が厚生年金に加入しても、引退後の年金額は生活保護基準を下回り、高齢者貧困問題を十分に解消できないことの2点が明らかとなった。 研究課題の成果として、公的年金と最低賃金との制度的関係に関する先行研究は研究論文「公的年金を中心とした高齢期ナショナル・ミニマムの検証」『社会政策』第10巻(第2号),pp.82-92,2018年10月、「基礎年金給付水準調整の再考」『経済学論纂(中央大学経済学研究会)』59(5・6),pp.119-133,2019年3月を執筆し掲載された。
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