研究課題/領域番号 |
18K13003
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
畠中 亨 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (70750818)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 公的年金 / ナショナル・ミニマム / 非正規雇用 / 貧困 / 格差 / 所得保障 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、最低賃金の引上げが公的年金の給付と財政状況に与える影響を量的に推計することである。 本年度は、雇用形態のマクロ的変化が公的年金への加入状況に与える影響に関して研究を行った。1990年代以降、非正規雇用の拡大が社会問題化しているが、公的年金への加入に関しては2000年代中頃から厚生年金加入者が男女とも増加している。これは、就業者全体に占める非正規雇用労働者の割合が増える一方で、就業率そのものが増加し、また正規雇用労働者も絶対数では増加していることがその要因である。同時に、非正規雇用労働者の中でも契約社員、派遣社員等フルタイムで就業する雇用形態においては、厚生年金への加入が拡大している。その一方で、現役世代の単身世帯比率が上昇し、単身のままで老後を迎えることで世帯単位の年金収入が相対的に低下し、高齢者の貧困問題につながる可能性が高いことを指摘した。このことから、公的年金の給付水準を検討する上で、単身世帯の給付水準を重視すべきであることが明らかとなった。 研究課題の成果として、労働総合研究所雇用問題研究会において2021年9月18日に、「雇用形態の変化と厚生年金加入拡大の動向について」を研究発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度より所属先が変わり研究環境を再構築する作業や、オンライン授業の実施形態に関するルールが前所属先と異なることへの対応等に時間を要し、本研究に必要なエフォートを確保することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の状況を鑑みて、研究期間を一年延長することとした。次年度は、新型コロナ・ウィルス感染拡大問題の収束が確認され次第、厚生労働省「賃金構造統計 基本調査」のデータの目的外利用申請に係る手続きを実施しデータの入手をしたうえで、最低賃金の引き上げが年金額分布に与える影響に関するシミュレーショ ン分析を行う予定である。ただし、新型コロナ・ウィルス感染拡大問題の今後の状況次第では、予定した計画を完遂できない可能性も考えられるため、状況に応 じて研究方法を一部変更して実行することも視野に入れて研究を推進する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
厚生労働省「賃金構造統計基本調査」のデータを目的外利用申請により入手する予定であったが、新型コロナ・ウィルス感染拡大問題のために必要な手続きを行 うことができず、これにかかる費用を次年度に使用することとした。また、新型コロナ・ウィルスへの感染予防のため学会・研究会等への参加をすることができ ず、次年度に予定を変更して旅費を使用することとした。
|