研究課題/領域番号 |
18K13004
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
久松 信夫 桜美林大学, 健康福祉学群, 教授 (30389845)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 早期発見 / 早期支援 / 非自発的なクライエント / アウトリーチ |
研究実績の概要 |
認知症高齢者の早期発見と早期支援のソーシャルワーク実践のあり方を研究する過程で、アウトリーチの概念と実践が大きく関与していることがわかった。さらに、アウトリーチ実践のあり方の検討を重ねると、自発的に支援を求めない認知症の疑いのある高齢者(非自発的なクライエント等)へのアアプローチを検討する必要性が発生したため、国外文献の調査を実施した。その結果、いくつかのことがわかってきた。近年の非自発的なクライエントに関する国外研究の傾向は、伝統的なクライエント個人に対するアプローチの研究も重ねられているが、グループメンバー内の非自発的なクライエントへのアプローチの研究も目立つようになってきた。 認知症高齢者の早期発見と早期支援のソーシャルワーク実践は、非自発的なクライエントへのアプローチの一つの方法としてのアウトリーチが大きく関与していていることと、国内における同様の研究は限定的であることから、これらの分野の研究方法を模索しつつ、十分な調査データに基づく研究が必要なことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症高齢者の早期発見と早期支援のソーシャルワーク実践に関して、非自発的なクライエントへのアウトリーチの概念と実践が大きく関与していることがこれまでの研究で明らかになった。そのため、特に非自発的なクライエントに焦点をあてて、彼らへのアプローチを検討している研究の文献調査を行った。その結果、ソーシャルワークのクライエントを自発的か非自発的かで分けるのではなく、これらのクライエントを「自発的~非自発的」という「連続体」のどこかにいる存在として捉えるべき考えがあることがわかった。この前提を基盤にして、非自発的なクライエントに関する研究動向とアウトリーチ実践をめぐる関係性の概念の研究を推進していく。 また、上記の研究状況から、常に調査設計を検討していく予定である。そのため、本研究全体のプロセスとしてはおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
認知症高齢者の早期発見と早期支援における予防的ソーシャルワークに関して、特に支援に否定的な(非自発的な)高齢者あるいは認知症の疑いがある高齢者を含む認知症高齢者へのアウトリーチの実践のあり方に焦点をあてて、実態調査を行う必要がある。この調査を行うにあたって、ソーシャルワーカーによるアウトリーチは、支援に否定的な高齢者や認知症高齢者の生活の何を予防するのか、リスクの高い生活危機の何を回避する必要があるのか、その予防効果と評価方法の開発、求められるアウトリーチ実践のスキルの開発が必要と考える。そのため、ソーシャルワーカーが配置されている地域包括支援センターを対象とした調査項目を設定する。 本調査を実施する前に予備調査を行い、調査設計や項目の精査を行い、効果的な実態調査が行えるような研究段階を星美していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に関する調査の設計を予備的に実行に移している段階である。そのため、今後も調査協力者や調査項目の設計を行っていく。また、暫定的な調査協力者に対してヒアリングを行い、本調査に向けた準備と実施を行うために、その使用計画を立てた。
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