研究課題/領域番号 |
18K13007
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西田 ちゆき 法政大学, 現代福祉学部, 助教 (90773010)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 法人後見 / 継続性 / 財政基盤 / 人材育成 |
研究実績の概要 |
成年後見制度の概況によると、法人後見の受任件数は、平成29年と平成30年を比較すると、社会福祉協議会では約18%、その他の法人では約8%増加した。これまで調査対象としてきたY市H区で活動するY団体は、発足7年が経過し、受任件数も2019年3月現在約50件、収入過去3年は1200万円~1500万円、毎年10名弱の担い手養成の実績と、法人継続のための基本的な要件は満たされた。しかし、寄付に頼らない財政運営はまだ実現しておらず、課題を残している。今年度は3法人へのインタビュー調査を実施した。 ①K市で活動するS法人は、市民後見人が中心になって活動、ボランティアで活動することをモットーとし、活動の継続性を担保するために内部留保金で備えている。受任件数は法定後見、任意契約を合わせて約50件である。②M市で活動するI法人の受任件数は約150件。専門職と市民後見人のペアで活動している。相談業務や養成講座はM市の委託事業。事務職員はフルタイム雇用。法定後見のみ。③C市で活動するN法人の受任件数は650件、資格は問わず専門の後見人として活動する人中心、金銭管理はすべて法人が行っている。 以上のインタビュー調査から、後見業務の特性を踏まえた財政計画、人材育成システムを確立していくことの必要性が再確認された。また、継続性を語る上では、設立背景や地域性、中心的担い手の属性を含めた要素も重要な手がかりになるため、数か所の調査のみの考察では類型化もできない。引き続き法人運営に関するインタビュー調査を続けていくことが課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運営が安定してきた法人後見実施団体の調査ができた一方、平成31年4月から立ち上げる法人後見実施団体の設立準備に関わってきた。そのため、運営安定のための要件について、設立準備メンバーらと様々な視点から協議することができ、今後の課題の見当もついたのでおおむね順調に進展していると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
論文執筆のための十分な研究は進んでいないので、以下の3点を今後の研究を進めるうえでの課題としたい。 ①インタビュー調査の対象団体を増やし、データをとる。 ②やや遅れているのが文献レビューである。今後は、非営利団体の財政運営、メンバーシップ、人材育成等に関する文献レビューをすすめる。 ③後見報酬体系の見直しに伴い、財政的な見通しの見直しが求められる可能性があるため、制度改正の動向に注意し、情報を得ていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費を使ってインタビュー調査を実施する予定であったが、対象を絞ったところ、首都圏の法人の訪問となったので旅費がかからなかった。 次年度8月と9月に遠方の団体のインタビュー調査を予定しているため、その費用に充当したい。
|