研究課題/領域番号 |
18K13007
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西田 ちゆき 法政大学, 現代福祉学部, 助教 (90773010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 持続性 / 法人後見 / NPO法人 |
研究実績の概要 |
2018年度から2019年度に法人後見実施団体のインタビュー調査を実施した。複数ある法人から同時期に設立された3法人を選定し、財務、人材、連携力の3方面からの分析、考察を行った。先行文献からNPO法人の持続性は①多様な財源が確保されていること、②会員数が多いこと、③多機関と連携がなされていることに起因することが明確になった。これらの結果を踏まえ、同時期に設立された法人後見実施団体について3方面から検討を行った。結果は以下のとおりである。 ①成年後見の受任を主たる事業とする団体という特性から、財源の大半は後見受任から得られる報酬であった。1つの法人のみ行政からの委託事業を展開しており、多様な財源の確保ができていた。 ②会員数については、3法人とも長年活動してきている点からも法人規模に応じて確保できていた。また、多くのNPOが課題として挙げているNPO運営を担う継承者については3法人とも目処が立っていた。 ③多機関との連携については、法人後見の場合、行政とのパイプが太ければ行政からの事業委託がある可能性が強く財政面で安定するため法人の持続にプラス要因となる。3法人とも特に多機関との連携を意識した取組は見られなかったが、受任件数が伸びているという点では多機関との連携が図れていることがわかった。 同じ年月を経て成長してきた3法人であるが、規模や運営方法はそれぞれ大きな違いがあった。事業の特殊性から、NPO法人の理念とそれに関連する事業収入の分配方法に関する考え方は法人の持続性に影響を与える。この点についてさらに調査を進め考察を深めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
法人後見実施団体について、首都圏で受任件数が比較的多く、設立5年以上経過している団体についてヒアリング調査を実施できた。また、法人後見の運営に関して論文にまとめられたので概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
以下の3点を進めていきたい。 ①理事として関わっている2つのNPO法人について、運営面での実践経過をまとめること。 ②首都圏を中心に未だインタビューを実施していない法人後見実施団体のインタビューを行う。財政、人材、運営に関する情報収集と分析を行う。 ③以前インタビューしたことのある法人について、その後の変化や課題に関してヒアリングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査や学会について予定していた日程が台風等自然災害により中止になった。今年度はリモートを活用した調査、調査結果の考察において研究協力者を依頼する予定である。研究費はそのための費用に充てる。
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