研究実績の概要 |
本研究では,アジア諸国における高齢者ケアをこれまでの日・韓比較研究から得られた「制度の持続可能性」ということに焦点を当てて,日韓だけでなく,アジ アの多国家分析を行う。その際に,コミュニティを次善の策として取らず,高齢者ケアにおいてコミュニティが核心的な担い手となる方法を探る。そのために, イギリスの理論を参照し,制度の持続可能性の問題をageing in communityの視点に着目するこのアプローチは,日本国内外で主流を占める既存の研究から一線 を画しており,その意味で,今後の高齢者ケア研究の方向性に対して一定の影響を与えることができるものと予想される。この点が,高齢者ケア研究の分野における本研究の学術的な特色および独創的な点である。また,先行国と東アジアの諸国とのあいだの比較だけでなく,東南アジア域内の多様性をも探る。 これらの点を明らかにする本研究の基礎となる作業を過去6か月間行った。たたし,本研究は,2018年度から2021年度に実施される予定であったが,出産・育児 のため2018年度910月から2021年度3月まで研究を中断したため,初年度から6か月間研究を実施しており,最初の6か月間の計画通り進行されている。
2019年度の当初の研究計画は,1)シンガポールと香港の現状分析の持続と日韓の関連資料の現状分析と2)国内・外の学会・研究会での中間報告及び論文執筆,3)ageing in communityの理論的成果に関する中間的取りまとめであった。しかしながら、2019年度は出産・育児のため2018年度10月から研究を中断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,アジア諸国における高齢者ケアをこれまでの日・韓比較研究から得られた「制度の持続可能性」ということに焦点を当てて,日韓だけでなく,アジ アの多国家分析を行う。その際に,コミュニティを次善の策として取らず,高齢者ケアにおいてコミュニティが核心的な担い手となる方法を探る。そのために, イギリスの理論を参照し,制度の持続可能性の問題をageing in communityの視点に着目するこのアプローチは,日本国内外で主流を占める既存の研究から一線 を画しており,その意味で,今後の高齢者ケア研究の方向性に対して一定の影響を与えることができるものと予想される。この点が,高齢者ケア研究の分野における本研究の学術的な特色および独創的な点である。また,先行国と東アジアの諸国とのあいだの比較だけでなく,東南アジア域内の多様性をも探る。 これらの点を明らかにする本研究の基礎となる作業を過去6か月間行った。たたし,本研究は,2018年度から2021年度に実施される予定であったが,出産・育児 のため2018年度10月から2020年度3月まで研究を中断している。そのため,初年度から6か月間研究を実施しており,最初の6か月間の計画通り進行されている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度から研究を再開する予定である。当初の計画通り,ageing in community,community careの理論的検討をまとめ,シンガポールの高齢者ケア関連資料 収集や現状分析を行う予定である。その以降は,以下のスケジュールで研究を進めていく。2021年度には、1)日韓の関連資料の現状分析,2)ageing in communityの理論的成果に関する中間的取りまとめ,2022年度には,1)シンガポールと香港の現状分析の継続と日韓の関連資料の補完,2)国内・外の学 会・研究会での中間報告及び論文執筆,2023年度には,分析のまとめ,補足調査の実施,報告書の刊行とその成果を普及する。 本研究の特性上,国内外からの研究者の協力を仰ぐ必要がある。シンガポールと香港に関しては,Thang Leng Leng 氏、Vasoo, Sushilan.氏(シンガポール大 学),そして韓国に関しては,Chon Yongho氏(仁川大学),Woo Kughee氏(ソウルキリスト大学)とSeok Jaeun氏(韓林大学),これまで本人がすでに研究交流 をしてきた各国の研究者から,常時,協力してもらえることになっている。なお,東アジアの社会保障・福祉に関して先駆的に研究を進めてきた武川正吾氏(東 京大学),野口定久氏(日本福祉大学),和気純子氏(首都大学東京),金成垣氏(東京大学)に助言を請う。また,イギリスのHudson John 氏(University of York), Clarke Charlotte 氏(University of Edinburgh)に協力を得る。さらに,現場の検証のために各国の現場の実践家に協助を得て,調査研究を進めていく 予定である。
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