研究課題/領域番号 |
18K13012
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
岡部 茜 大谷大学, 社会学部, 講師 (20802870)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 若者支援 / 共同生活 / ソーシャルワーク / 住まい / ひきこもり |
研究実績の概要 |
2018年度は、共同生活型の若者支援をおこなう実践団体を訪問し、実践者に協力を得て、事業に関するインタビューを2時間程度おこなった。インタビューでは、若者の入居理由、家族背景、負担金額、事業の具体的なプログラム、住まいと合わせた支援を実施するにあたっての経緯などについて聞き取りをおこなった。 そして、インタビューデータの文字起こしをおこない、そのデータから、各地の支援状況の整理および事業類型や効果、課題などについて分析した。現時点では、団体により参加する若者の背景に偏りがあること、いわゆる「ひきこもり」の若者から刑務所からの出所者などを含めて多様な若者が事業を利用していること、すべての団体で若者の共同生活の意義が認識されていること、若者支援における住まいの支援はその必要性が自治体などから認められず独自で予算を捻出していること、などが見えつつある。 また、共同生活のためのルールなどは多くの団体で、ほとんど設定されていないか、もしくは設定していてもそのルールが厳重に守られていないようであった。これは、同じように居住を保障する支援でも、生活を大人に依存し、「保護」の対象となる児童期と若者期との間の大きな違いであると考えられる。 さらに、どの団体も共通して“地域とのかかわり”を重視していることが明らかになった。どの団体の実践者も、「溝掃除」や地域の運動会などのイベントへの参加が必要であると認識しており、若者の参加を強く推奨しているようであった。この点は、若者支援の他の取り組みとは異なっている。今後、さらに検討を深めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビューが支援現場の事情などで延期となることもあり、2018年度予定していた団体数のインタビューを実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、引き続きインタビューを実施し、新たに得られたデータも踏まえつつ分析を進めていく。また、分析したデータは、6月にイギリスで実施される「World Community Development Conference 2019」にて報告する。そこで得た示唆をもとに、成果を論文としてまとめて投稿することを予定している。また、可能であれば2019年度から、実施団体施設に一定期間住み込み、参与観察を実施することも検討する。 2020年度は、参与観察により共同生活型若者支援のなかで生じている相互作用を検討し、2021年度は、必要に応じて追加調査を実施しつつ研究成果をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金使用において生じた端数であり、大きな金額ではないため、2019年度分と合わせて特に予定に変更を加えることなく使用していく。
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