研究課題/領域番号 |
18K13013
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
姜 民護 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (60802254)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日韓 / 社会的貧困 / 文化的貧困 / 支援モデルの開発 / 親子コミュニケーション |
研究実績の概要 |
2019年度では、2018年度に作成した「離婚家庭の子どもの社会・文化的貧困測定尺度の質問項目」を専門家や実践家との検討を通じて内容的妥当性の担保を試みた。この尺度は「貧困」という概念を社会的および文化的な側面から捉え、またそれに「コーピング」の要素を取り入れている。 また、2018年度に構築した因果関係モデル(ラザルスら(1984)の認知的評価理論のコーピングとして「社会・文化的貧困(従属変数)」を、認知的評価として「離婚経験児の日常生活ストレス認知(独立変数)」を位置づけたモデル)の妥当性を検討した。 なお、この因果関係モデルの媒介変数、あるいは調節変数として機能すると判断できる「親子コミュニケーション測定尺度」を開発した。この測定尺度は、欠損地の有さない1760名のデータを用いて探索的因子分析や確認的因子分析で検討し、開発している「13項目3因子二次因子モデル」である。具体的には、統合型親子コミュニケーション(上位因子)は気楽なコミュニケーション(5項目)、不愉快なコミュニケーション(4項目)、気が重いコミュニケーション(4項目)の3つの下位因子と構成されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画より遅れているのを報告する。計画通りなら2019年度では、量的調査の実施や解析、成果の中間発表等を行るべきだったが、教育・研究環境の変化や予想外の事態(COVID19)によって研究進捗に「遅れ」が起こっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、韓国での調査は、協力機関から承諾を得ている状況である。日本はまだ協力要請中である。 2020年度では、前述した状況を踏まえて、2018年度の成果(離婚家庭の子どもの社会・文化的貧困測定尺度の質問項目作成)と2019年度の成果(2018年度に作成した質問項目の内容的妥当性の検討)を「実際の量的調査」につなぐ予定である。 また、量的調査の実施や解析を通じて「測定尺度」の構成概念妥当性の検討および因果関係の検討を行った後、その結果に基づき支援機関にインタビュー調査を実施し、予防的、並びに事後的な支援モデルの構築を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
教育・研究環境の変化や予想外の事態(COVID19)の影響によって当初の計画の通りに、量的調査等の研究が進めなかったので、次年度使用額は、量的調査に必要な質問紙の印刷や送料、質的調査に必要なテープ起こしの経費などに充てる予定である。
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