最終年度である2022年度では、これまでの成果(韓国での調査)に続き、日本での調査ができた。親の離婚を経験した子どもに直接的な調査はできなかったものの、ひとり親家庭で育った成人を対象(18歳~49歳)としたアンケート調査を行い、200ケースを収集することができた。それに加え、比較分析のために、18歳から29歳までの一般成人を対象としたアンケート調査を行い、300ケースが収集できた。 調査内容は、フェイスシート9問(性別・年齢・子ども期の家庭形態・子ども期にひとり親家庭となった理由・中高生時のお小遣いの金額・最終学歴・雇用形態・現在の経済的な余裕・現在の精神的な余裕)と子どもの経済的ストレス測定尺度(11項目3因子二次因子モデル)、子どもの社会的効力感測定尺度(8項目4因子二次因子モデル)、家族健康性測定尺度(11項目3因子二次因子モデル)、親子コミュニケーション測定尺度(13項目3因子二次因子モデル)で構成した。これで、日本と韓国での調査が無事に完了できた。 記述統計を行った結果、ひとり親家庭の子ども、もしくはひとり親家庭で育った成人は、中高生の時のお小遣いが少なく、また、お小遣いの少なかったことからネガティブなストレスを覚えたことが多かった。一方で、自分の家族をどう評価しているのかを測定する家族健康性測定尺度では、ひとり親家庭の子ども(ひとり親家庭で育った成人を含む)と両親がそろっている家庭で育った成人との違いは見られなかった。 これからは三つのグループ(①韓国のひとり親家庭の子ども、②日本のひとり親家庭で育った成人、③日本の一般成人)を対象とし、相関関係や因果関係などの分析を行っていくつもりである。
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