研究実績の概要 |
2021年度はオンラインでの学会・研究会の参加を通じて、高齢期生活保障に関わる「労働」や「社会保障」などを取り扱った最新の研究動向についての知見を得るとともに、当初の研究計画、あるいはまたその前年度にあたる2020年度の研究計画にもとづき、高年齢雇用継続給付に関する研究を進めた。さらに、その成果を下記の研究成果に記した論文、「高齢期生活保障システムにおける『雇用』と『年金』―高年齢雇用継続給付の史的経緯に着目して―」としてまとめた点を主たる研究実績として挙げることが出来る。 そもそも高年齢雇用継続給付の先行研究は、いまなお乏しい状況にある。しかしながら、2021年時点で年間2,000億円弱の給付総額となる高年齢雇用継続給付が高齢期生活保障に果たした役割は決して無視できない。わが国の社会政策における「経路依存性」に着目し、歴史研究として高年齢雇用継続給付の創設(1994年)の経緯を取り上げた本研究では、ひとまず研究の目的を以下に設定した。つまり、高齢期の「雇用」と「年金」の接続・連携の在り方に関して今後の論議に資するべく、(1)1994年の厚生年金制度改革との関連性、(2)「雇用保険」のなかに60歳台前半層の所得保障に資する制度が構築された要因を明らかにすることである。 上記の研究を進める一方で、諸般の事情により2021年度内に実施することが出来なかったものの、2022年度中(9月予定)には公開講座を通じて広く本研究課題の成果を公表する予定でもある。
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