研究課題/領域番号 |
18K13017
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研究機関 | 鹿児島国際大学 |
研究代表者 |
有村 玲香 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20713689)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 療育関係者 / 行動分析の学習 / 行動分析に関する知識 / 就業前教育 / 就業後教育 |
研究実績の概要 |
今年度は、「就業前グループ」「就業後グループ」「一貫性グループ」対して、プログラムの分析と学会発表を中心に取り組んだ。 始めに、「就業前グループ」の100名(X年度40名,X+1年度24名,X+2年度36名)の実践から就業前教育における行動分析の学習を導入するための課題を整理した。KJ法を用いて、3点の行動分析を学習することの難しさを明らかにした。1点目は、「生活の中に行動分析が存在しておらず、行動分析的思考のフレームワークがない」ことであった。2点目は、「相手に働きかける方法が思いつかず、実際の支援方法のレパートリー不足・欠如」していることであった。3点目は、「行動観察の着眼点が定まらず、機能的アセスメントまでたどり着かず、これまで通りの解釈となる等の行動分析を用いた新しい解釈が困難」であった。 次に、「就業後グループ」のA市の「児童発達支援事業所4名」「認定こども園・保育園2名」「小学校6名」の合計12名実践からプログラム効果について分析を行った。本プログラム実施では、プログラムの有効性として「行動分析に関する知識」の有意な上昇は示されたが、気分や感情のポジティブな変化や、心理的欲求の充足においては有意な変化は示されなかった。また、唾液アミラーゼ測定(ストレスの評価)は、全回で、研修前より研修後の平均値は高くなり、5 回目は、5%水準で唾液 アミラーゼ値が高くなった。 「一貫性グループ」は、障害のある子ども・保護者(幼稚園・認定こども園・児童発達支援)に携わる専門家5名に対しての効果を分析した。本グループでも、「行動分析に関する知識」の有意な上昇は示された。また、気分や感情のポジティブな変化は「友好」が5%水準で上昇した。 概ね、学習プログラムでは、知識の向上は明らかとなり、今後は、プログラムの最適化を図るための方向性を整理していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、所属の異動のためプログラムの分析を中心に取り組んだ。最終年度に向けて、プログラムの最適化の方向性について検討と実施をする必要がある。 また、同様の理由で国内外の先駆的地域のシステム構築と実践を視察ができず、来年度実施することとしている。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、前年度に実施したプログラムの分析と最適化に取り組む。そして、これまで得た研究の知見を整理するとともに、最適化されたプログラムの実施と対象者への影響を評価する計画である。そのうえで、他地域への展開の可能性と実行性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、国内外の先駆的地域のシステム構築と実践を視察する予定であったが、所属の異動等の状況・環境の変化のため実施できず、「次年度使用額」が生じた。次年度に、視察を実施したいと考えているが、新型コロナウイルスの蔓延状況により柔軟に変更する予定である。 また、最適化された教育・研修プログラムを実施していく予定であるが、先ほどと同様にコロナウイルス対応で3密を避ける必要があり、場合によってはオンライン上でのプログラムを実施するための物品費に充てる必要がある。 以上を、次年度使用額の発生理由と使用計画とする。
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