研究実績の概要 |
本年度(3年目)は、「貯蔵による成分プロファイル変化の魚種差の解析」の試料調製を行い、4年目計画であった「調理加工の影響」について一部前倒して実施した。 まず、「貯蔵による成分プロファイル変化の魚種差の解析」については、マサバ、シロサケ、マガレイ、サクラマスをモデルに各魚肉を5℃で貯蔵し、0,1,3,7,14,21,28日にそれぞれサンプリングした。現在、サンプリングした試料について解析を進めているところである。一方、「調理加工の影響」については、、蒸し加熱をモデルに大きく下記3つの実験を行った(一部は次年度実施)。①食品衛生学的な殺菌を目的とした条件での加熱、②加熱によって成分プロファイルが変化する閾値の解析、③加熱による影響の魚種差の検討である。 ①養殖ブリをモデルに実験を行った。加熱はスチームコンベクションオーブンで、(1)中心温度85℃到達後90秒間温度保持(ノロウイルスの感染性を失活)、(2)中心温度75℃到達後60秒間温度保持(食中毒菌を死滅させる)、(3)庫内設定温度を63℃とし、30分間加熱(低温長時間殺菌)とした。加熱後、普通肉と血合肉に分け、それぞれGC-MSメタボロミクスに供した。その結果、いずれの条件も未加熱と比較し統計的に有意な成分プロファイル変化は認められなかった。そのため、大量調理施設や加工品工場等で実施されるような条件では魚肉の一次代謝成分へは影響を与えないことが明らかとなった。 ②①で使用した未加熱の魚肉を使用し、どの程度の加熱条件で一次代謝成分に影響を与えるのか検討した。その結果、100℃30分間以上の加熱で成分プロファイルが有意に変化した。以上のことから短期間の加熱であれば、魚肉の一次代謝成分には影響を与えない可能性が高いことが明らかとなった。現在、③の魚種差について解析中である。
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