研究課題/領域番号 |
18K13022
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
赤石 記子 東京家政大学, 家政学部, 講師 (70459593)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 加熱温度 / バナナ / リンゴ / 低アレルゲン化 / 抗酸化性 |
研究実績の概要 |
食物アレルギーに悩む患者は多く、幼児期や成人期で新たに発症するものとして果物があげられる。原因食品の中でもバナナとリンゴは安価で通年入手しやすく、離乳食や給食での出現頻度が高い。生食のほかケーキやジュースに加工されることが多く、種々の加熱法が施される。加熱により一部の抗原が低下するといわれているが、実際の調理事例に当てはめた報告は少ない。そこで今回は加熱条件を変えて調製したバナナ及びリンゴを対象に、低アレルゲン化と抗酸化性に及ぼす影響について検討した。 市販のフィリピン産バナナを5mm厚さの輪切りにし、長野県産サンつがるは5mm厚さのいちょう切りにした。未加熱(生)を対照に100gずつに分け、バナナやリンゴを使用した菓子類の加熱条件を想定し、フライパンによる板焼き加熱法、オーブン加熱法、蒸し加熱法、電子レンジ加熱法とした。これら加熱法別試料の重量変化率、糖度、テクスチャー、及び化学発光法による抗酸化能を測定した。また試料中のたんぱく質を抽出し、電気泳動分析による分子量分布から、加熱条件別の抗原の変化を各々比較した。 バナナの重量変化率は、オーブン加熱法で大となり蒸し加熱法で小となった。糖度は、重量変化率が大で濃縮されているオーブン加熱法で高くなった。抗酸化能は、未加熱に対し焼き加熱法とオーブン加熱法で有意に高く、これは加熱によるメラノイジン生成が多く生じたことが原因と考えられた。一方蒸し加熱法や電子レンジ加熱法は、未加熱との有意差がみられなかった。電気泳動分析の結果、電子レンジ加熱法で全てのバンドが消失しその他の加熱法でもバンドが薄くなったことから、加熱によるアレルギーの低減化の可能性が期待できた。 リンゴについても同様の傾向を確認しており、今後はさらに栄養成分の損失を明らかにすると共に、砂糖などの副材料を入れた試料についても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はELISA法による抗減量の追跡が、予算の関係上、実施できなかったが、次年度に予定していた抗酸化性の測定を行っている。概ね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は副材料を添加した試料について同様の測定を行うと共に、β-カロテン、ビタミンC量をHPLCにより定量試験を実施し、機能性に配慮された低アレルゲン化する果物の最適調理条件を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたHPLCのカラムから変更が生じ、その差額が残金となった。 残金については次年度にかかる試薬や消耗品の購入に充てる予定である。
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