「コク」は日常的に利用されている日本特有の味覚表現用語であるが、その意味は曖昧である。近年、食品の「コク」は「複雑さ、広がり、持続性」の三要素により説明できるとの定義が提案されているが、これらを客観的に表現する技術はなかった。そこで本研究は「食肉のコク」を表す科学的な指標を開発することを目的として研究を展開し、油脂が消費者の食肉の「コク」の認識に関係する成分であることをアンケート調査により明確にした。また、経時的な官能評価手法であるTDS法を用いて「コク」の因子の一つとされている「複雑さ」を算出する方法を開発し、曖昧な「食肉のコク」を定量する方法を開発することに成功した。
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