生活者の日常的な生活の基礎となる地域資源とその利用の広がりが、ライフスタイルの基礎となりライフスタイルの持続可能性に係ることを明らかにすることを目的とする。 2023年度も2022年度に引き続き日常的な地域資源の活用について、単純な近接性による評価ではなく特定の世代の行動パタンのモデルを立てその行動モデルの実行可能性により地域の居住性能の評価を行うケーススタディを進め、評価方法の検討を進めた。具体的にはひとり親世帯の日常生活における危機的な状況を行動モデルとし、施設・サービス利用について空間的・時間的な利用可能性も勘案し居住地の評価を行うことで、居住地ごとの特徴、例えば急な残業による子どもの迎えのしやすさを評価し、居住地ごとの比較を可能とした。 一方で日常生活行動とライフスタイルの志好性に関する調査をWEBアンケートにより実施することの検討を進めたが、WEBによるアンケートでは地理的情報とのマッチングが不十分な状態でしかできず、目的である高齢者の利用可能な地域資源とライフスタイルの持続可能性に関する分析が不可能であると判断し中止した。また同時に当初計画していた調査対象地におけるヒアリング・アンケートに立ち返ること可能性も検討したが、新型コロナウィルスの流行が鎮静化したと言われるものの、居住地における調査は特に地域の高齢者の抵抗感が根強く調査の承諾を得られなかったため中止した。 期間を通して1)壮年期の広域での生活から老年期の自宅を中心とした限られた生活への変化の中で、以前は実現できた生活行為の喪失を強く感じている者がいること、2)壮年期に自宅を中心とする生活を過ごした者の多くは老年期へ移行してもライフスタイルに大きな変化を感じていないこと、3)子育て世代では、日常的な生活維持のための行動もひとり親になった途端、地域資源のあり方により生活の困難さが大きく変わること、を明らかとした。
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