研究実績の概要 |
コロナ禍の中、研究機関への立ち入りが制限されていたことにより、150年前の丹後縮緬生地再現プロジェクトの完成が遅れ、1年間の研究延長申請を行なっていた。2021年度をもって製織が完了し、現在流通している丹後縮緬との比較検討を行うことが出来、研究を完了することが出来た。 最終年度を持って、(ⅰ)残存する初期の手織り丹後縮緬を、最新の立体光学機器を用いて非破壊分析し、(ⅱ)その結果を踏まえ復元し、(ⅲ)風合い、吸水性等の詳細分析(KES等)を実施し、(ⅳ)現存の機械織り丹後縮緬との比較検証により、丹後縮緬の歴史的変遷を明らかにする、当初の目的を達成することが出来、学会発表、論文発表などを行うことが出来た。 また、丹後縮緬は、研究期間中の2020年に創業300年の記念の年を迎えており、産地でも多くの取り組みが行われた。この研究と連動して、Textiles Summer School,Alternative Futures Exhibitionsなど国際的なワークショップ、展示の企画運営に参加することが出来、産地の企業、海外研究者双方のネットワークを構築することが出来た。 2021年は、上記研究過程の中で、製織に欠かすことの出来ない日本式ジャカード織り機(ダイレクトジャカード)に関する研究もスタートさせ、丹後地域で使用されているジャカード織機の歴史的変遷、また西洋式ジャカード織り機との比較研究を行い、学会での口頭発表、論文発表を行なった。今後も、上記海外ネットワークを活かして、より実践的な使用方法の開発・研究していく所存である。
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