研究課題/領域番号 |
18K13041
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
召田 優子 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (20757893)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 仮想立体裁断 / 布モデル操作 / モーションキャプチャ |
研究実績の概要 |
本年度は,人工知能による布モデル操作の切り替え機能の実装を試みた.先行研究の布モデル操作システムではキーボードのキーやジェスチャによって切り替えていたが,ジェスチャの認識がうまくいかず誤動作してしまうという課題があった.そこで今年度は,人工知能を用いてより柔軟に布モデル操作の切り替えを行えるようなシステムの開発を目指した.一方,この布モデル操作は,操作によっては布モデルが不安定になってしまうということや,立体裁断に必要な裁断操作がないなどの課題が残っていた.そのため,今年度は切り替え機能実装と並行して布モデルの改良も行った. 布モデル操作の追加および改良した点は以下のとおりである.本システムに新たに裁断操作を追加した.この裁断操作では,手指の動きに合わせて裁断箇所を選択した後,布モデルが裁断される.裁断は繰り返し行うことができる.操作の改良に関しては,つまむ操作などの布モデルを指に固定または指の動きに従い布モデル形状が変化する操作において,先行研究では布モデルを指モデルの先に固定していたが,今年度は指モデルと布モデル間に仮想的なバネを作ることで力により布モデルが指の動きに追従するように改良した.これにより手指の突然の移動による極端な布モデルの変形を防いだ.その他の改良点として,リアルタイム性を向上させるために衝突計算等を見直し計算時間の削減を行った. 一方,布モデル操作の切り替えのための人工知能は,手の瞬間的な形を認識する静的モデルと,手の動作の流れを認識する動的モデルの2つのモデルで構成した.これにより 97% 以上の精度でジェスチャを識別することができた.人工知能の手の動作分類結果と布モデル操作を結び付けることで,直感的でスムーズな布モデル操作を可能とした.学習に用いるデータを実際の立体裁断で用いる動作にすることにより,より自然な操作が可能になると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
求める性能(布で手が隠れても手指の動作が取得できる)を有しかつ購入希望額にあうグローブが見つからず,購入に手間取ってしまった.このことと新型コロナウイルス感染症により手指動作のデータ取りに遅れが生じた.現在は,特定のジェスチャでも人工知能を用いた本システムにおいて先行研究よりも操作が良くスムーズに操作できているため,この改良したシステムで次の段階である衣服の作製を試みる予定である.また,立体裁断で用いる手指動作のデータの取得が可能となった場合に向けて人工知能に適応できるよう準備を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
実際に本システムにより衣服を作製し,本システムの課題の洗い出しおよび改良を行う.現段階ではフレアスカートなど簡単な衣服の作製を目指す予定である.衣服を作製した後,この成果を学会での口頭発表または学会誌の投稿を行う予定である.時間があれば仮想空間上で作成した衣服から型紙の作製を行うことも考えている.一方で,立体裁断の手指動作のデータ取りが達成できたときに備えて,そのデータを適用できるように準備を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
手指の動作を取得するグローブの希望性能を少し下げたため予定よりも安くグローブを購入することができた.さらに,学会発表を2020年3月に行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症のため中止になり,それにかかる費用が浮いた.
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