研究課題
本研究は、発芽玄米摂取による更なる健康増進に貢献する加工法と系統の提案へ繋げるために、以下を目的とするものである。細目1:玄米のγ-アミノ酪酸(GABA)が増強される最適な低温発芽処理条件の解明、細目2:発芽玄米のGABAと抗酸化能が維持・増強される最適な加熱処理条件の解明、細目3:機能性が維持・増強される最適条件と当所独自の玄米系統を用いた素材開発最終年度は、細目1において玄米(コシヒカリ)の低温発芽処理条件の検討のため15から25℃の条件下での臭いとGABA含量の変化を、官能検査、GC/MS法とHPLC法で評価した。結果、低温区では、30℃区と比較して、アセトイン由来の不快臭は抑えられたが、GABA含量の増加効果は緩やかだった。また、細目2では、115℃での加熱処理で発芽玄米の水溶性抗酸化能を高めた機序について、総ポリフェノール(TP)含量、メイラード反応色とその基質となるアミノ酸・還元糖の含量を指標に評価した。結果、抗酸化能の増加には、TP含量の増加による影響は小さく、加熱により生成するメイラード反応物の寄与が大きいと考えられた。更に、細目3では、独自の玄米系統を用いた素材開発のため、9月に収穫した玄米6種(巨大胚芽米やキヌヒカリ等)を30℃・24時間で発芽処理後に、機能性が高まる最適加熱温度(115℃)で処理し、GABA等の14種アミノ酸含量、水溶性・脂溶性の抗酸化能とTP含量を指標とし評価した。結果、115℃加熱による機能性を高める効果は、品種・系統間で大きな差を示した。また、巨大胚芽の系統であるS1200-4は、他の品種・系統と比較し、GABA含量、TP含量とH-ORAC値が高値を示した。これら結果より、発芽玄米の機能性を高める加工法として115℃加熱の有用であること、更にこの条件を巨大胚芽の系統であるS1200-4に応用することでその機能性が最も高まることが明らかとなった。
静岡県農林技術研究所試験研究成果の概要集2020年に、以下2点が掲載された。①豊泉友康, 小杉 徹, 外山祐介, 発芽玄米の炊飯時間の違いがGABA含量および抗酸化能に及ぼす影響, 2020年3月.②外山祐介, 亀山 忠, 豊泉友康, 特産ブランド化が可能な特徴的な品種の育成 (高機能性品種), 2020年3月.
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 未定 ページ: 1~10
doi.org/10.1080/09168451.2020.1729089