研究課題/領域番号 |
18K13045
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森本 洋介 弘前大学, 教育学部, 講師 (20633613)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学力調査 / 採点プロセス |
研究実績の概要 |
本研究では日本の全国学力・学習状況調査の現在の方式と同様に、学力調査を目的とした悉皆のテストを行っているカナダの州(オンタリオ州、アルバータ州、ケベック州)を調査対象として研究を行うこととしている。4年間の研究期間のうち、1年目は準備期間(適切な訪問場所・時期・人物の選定、資料収集等)とし、2~4年目はそれぞれ1年につき1州の状況を明らかにするとしていたが、1年目の本年でアルバータ州の調査を行う準備ができたため、2019年3月にアルバータ州エドモントンにあるアルバータ州教育省の学力調査の部門を訪問し、3日間の現地滞在でインタビュー調査を実施した。また、アルバータ州において学力調査で優秀な成績を収めている初等学校と中学校を1校ずつ訪問し、その取り組みについて教員から説明を受けるとともに、いくつかの授業を見学した。 まず教育省でのインタビュー調査では学力調査のテスト問題をどのように作成し、どのように採点を行っているのか、誰が採点を行い、採点者の育成をどのように行っているのか、などの質問を中心に聞き取りを行った。さらに学力調査を悉皆で行うことの意義や、州民の調査に対する受け止め方についても質問した。 学校訪問においては、アルバータ州エドモントンの郊外にある初等学校と、その近隣の小中一貫学校を、教育省の職員の仲介で紹介していただき、それぞれ3時間程度見学を行った。各校の学校長とまず面会し、学校およびカリキュラムの特徴や学力調査に対する意識について話を聞いた。そして授業中の様子を少しずつ参観しながら、特に学力調査の対象である6年生と9年生の授業を重点的に見学し、担当する教員にも話をうかがうことができた。 今回の調査はこれまでオンタリオ州で行ってきた研究を土台にすることができた点で効率的に事前に課題を把握し、質問事項や観察事項を焦点化できたため、有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にも記載したように、研究計画では1年目を準備期間としていたため、1年目のうちに現地調査を実施できたことは順調に研究計画が進んでいることの証左であると判断したためである。1年目はアルバータ州の研究しかできなかったが、基本的に1年で1州の調査に専念することを研究計画で記載していたため、今後も1年に1州を焦点化して研究を進めていくとともに、3年目、4年目で3つの州について比較考察する時間が十分に確保できると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
2年目はケベック州を中心に学力調査の実態(問題作成のプロセス、採点のプロセス、誰が採点に参加し、採点者をどのように育成しているか、学力調査に対する州民の受け止め方や、悉皆調査で調査を行うことの意義など)について、アルバータ州と同様に現地調査を含めて研究を進める予定である。また、オンタリオ州における学力調査のテスト採点の様子を見学することが可能であれば、2020年4月にオンタリオ州を訪問し、その状況について調査を行うことも検討している。 現地調査の準備と並行して、各州の学力調査の歴史的な経緯や、その動向をめぐる学術的な研究状況についても文献資料を探す予定である。
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