研究課題/領域番号 |
18K13048
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
星野 真澄 筑波大学, 人間系, 客員研究員 (00740119)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育環境整備 / 初等中等教育の接続 / 学校段階区分 / 教職員配置 / 教育行財政 / アメリカ / 小中一貫 / 教育制度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地方分権的な教育行政構造を有するアメリカを取り上げ、地域ごとに異なる初等中等教育の学校段階の区切りの中で、如何に教職員配置や学校施設の整備など教育環境整備を行っているのか、初等中等教育の接続を円滑にする制度的条件を明らかにすることである。具体的には、以下3つの研究課題を設定して研究を進めている。①学校体系の法規定の整理・分析、②教職員定数・配置の実態解明、③学校施設等の教育環境整備の解明である。 本研究の2年目である2019年度は、12月に渡米調査(ノースカロライナ州、オクラホマ州、アリゾナ州)を実施した。学区教育委員会では行政担当者と教育長にインタビュー調査を行い、小学校では校長・副校長・プログラムマネージャー等へのインタビュー調査を行った。また5年制小学校(K-5小学校)から8年制小学校(K-8小学校)へと学校段階を変革した小学校を訪問し、教職員の配置の実態と学校施設の課題等についてインタビュー調査を実施した。小学校では各クラスの授業観察も行い、K-8小学校で実施している一貫制あるカリキュラムについて、プログラムマネージャーから情報を得ることができた。とくにノースカロライナ州で訪問した小学校では、K-8小学校へと学校段階区分を変革したことで入学希望者が増え、在籍者数が増加したため、2020年の夏に新しい大規模な校舎へと移り変わる予定であるので、来年度も引き続き調査を実施することになった。 初年度および2年目の研究成果の一部は、2019年10月にアメリカ教育学会にて口頭発表を実施し、2019年10月には"Bulletin of Institute of Education"に、2020年2月にはアメリカ教育学会の紀要『アメリカ教育研究』に掲載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の初年度には、アメリカでの実地調査で7州の教育委員会、小学校、大学等を訪問して、教育環境整備の財政的分析に必要な資料を収集することができた。また文献収集のみならず、米国研究者と情報交換できたことは、2年目以降の調査研究を進展させるためにも良いスタートであった。 初年度に引き続き、本研究の2年目には、新たに3州の教育委員会や小学校等を訪問して、教育長、学区担当者、小学校の校長等へのインタビュー調査を行い、順調にアメリカでの調査を進めることができた。とくに今年度は、学区が実施する学校段階区分の変革に対する課題について教育長から新たな情報を得ることができたと同時に、その学区内で学校段階区分の変革を実施している最中の小学校を訪問し、担当教員へのインタビュー調査を実施できたことは、当初の計画以上の進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度と2019年度に実施した渡米調査にて、州教育省・学区教育委員会でのインタビュー調査、学校現場での授業観察、米国研究者との情報交換等を十分に実施することができたので、2020年度以降は実地調査で得た情報の分析・考察に重点を置いて研究を進める予定である。 またノースカロライナ州の事例は、学校段階区分の変革の最中であるので、今年度も学区教育長と小学校の担当教員と継続的に連絡を取りながら、最新の情報を収集するよう努める計画である。 地域ごとに異なる初等中等教育の学校段階の区切りの中で、どのように教職員配置や学校施設の整備など教育環境整備を行っているのか、アメリカ10州の実地調査のデータを踏まえながら分析を進め、引き続き研究成果を発信していく予定である。
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