本研究の目的は、地方分権的な教育行政構造を有するアメリカを取り上げ、地域ごとに異なる初等中等教育の学校段階の区切りの中で、如何に教職員配置や学校施設の整備など教育環境整備を行っているのか、初等中等教育の接続を円滑にする制度的条件を明らかにすることである。これまでの4年間、具体的には、以下3つの研究課題を設定して研究を進めてきた。①学校体系の法規定の整理・分析、②教職員定数・配置の実態解明、③学校施設等の教育環境整備の解明である。 本研究の4年目である2021年度は、この4年間で実施してきた渡米調査(イリノイ州、ウィスコンシン州、マサチューセッツ州、コネティカット州、ペンシルベニア州、メリーランド州、ワシントンD.C、ノースカロライナ州、オクラホマ州、アリゾナ州)で収集した資料およびインタビュー調査の結果を取りまとめ、研究成果を発信しながら、継続的な研究を進めてきた。 2021年度には、研究成果の一部を2021年11月に開催された日本教育制度学会大会で口頭発表を実施し、教育制度、教育行政、教育財政を専門とする研究者からご指導・ご助言をいただいた。それらを踏まえて、研究成果を論文や最終報告書のまとめに活かすことができた。2022年1月には、アメリカ教育学会紀要『アメリカ教育研究』に「アメリカ初等中等教育の接続に関する研究動向と課題」を成果の一部として掲載し、2022年3月には、科研の英文報告書(全95頁)”A Study on the Articulation System in Elementary and Secondary Education in the United States”を刊行した。
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