本研究は、身体を使った「わざ」の稽古場面における参与観察を行い、その習得および創造のプロセスを記述するものである。2022年度を含めた研究期間全体の成果は以下の二つの通りである。 (1)フィールド調査:海外調査として、フランス国立サーカス学校における調査(2019年1月~2月)を行い、参与観察およびインタビューをふまえて、現代サーカスにおける「共同的創造」についての知見を得た。日本国内における伝統芸能・現代芸術についての調査も実施した(京都、大阪、兵庫、東京、長野など)。具体的には、主に現代人形劇の劇団や劇場と関係を結び、稽古や公演を中心とした参与観察やインタビュー調査を行い、映像や写真を含めた資料を豊富に収集した(2018年度から継続的に実施)。 (2)論文掲載・編著本の刊行:報告者が編者の一人となった学術書や、国際誌を含めた複数の学会誌に投稿した論文が刊行された。具体的には、フランスEHESS発行の人類学国際誌、哲学・現象学の研究誌(国際誌含む)、教育学の研究誌(国際誌含む)などに論文がそれぞれ掲載された。また、「身体哲学」に関する日仏共同研究の成果を編集した著書『Experiences du corp vivant』を刊行した。 (3)学会・研究会での発表:国内外の学会に個人発表や招待講演、シンポジストとして参加し、研究発表を行った。具体的には、教育文化学会、日本体育・スポーツ哲学会、教育哲学会、日本現象学会、国際シンポジウム「Phenomenology of Skilled Performance」、国際ワークショップ「Radical Embodied Cognition」、日本質的心理学会などである。
|