米国の例からわが国の動向を振り返ったとき、複合的都市政策下においては、教育・教育政策が他領域に従属させられるか、基軸的位置を占めるかのどちらであるかを注視すべきことがみえてくる。すなわち本研究では、教育改善と地方創生の同時並行的実現を楽観的に是として進めるわが国の政策動向を相対化し、教育の観点から他領域の各政策を点検し、次世代育成と地域創生の矛盾を少しでも減らす必要性を指摘した点に学術的・社会的意義がある。他方、米国で教育が基軸的位置にあったのは、市民的能力の育成に向けた学力向上を視野に入れていた場合であった。これが排他的能力開発論に絡めとられないようにすることが、今後のわが国の課題ともなる。
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