幼児の不安やとまどいだけでなく,幼児の期待,そして幼児が小学校に対してどのような認識をもっていると幼保小の教員が認識しているか,そしてその認識は幼児教育と小学校教育の教員の間でどのようにズレているかを明らかにすることは,今後の幼保小連携,そして接続期カリキュラムを両者が話し合いながら作成していくうえで,重要な情報となると考える。 当該年度では,昨年度の研究を踏まえ,幼保小の教職員が「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」がどの程度子どもたちに見られると考えているか,また,特にどの姿を求めているのかについて,再度質問紙調査を行い,幼児教育施設と小学校との比較,幼児教育施設間の比較等を通して明らかにすることを目的とした。 具体的には,幼保小連携に関するアンケート項目を再検討し新たに作成した。内容は大きく4つあり,Ⅰ:所属校園について,Ⅱ:所属先が,平成22年に文部科学省が出した『幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について(報告)』に示されている「連携から接続へと発展する過程」のステップ0からステップ4までのどこに位置づいているかについて,Ⅲ:「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」のイメージについて(30項目),Ⅳ:Ⅲの30項目の中で「特に求める」子どもの姿を1位~5位まで順位をつけることについてであった。 調査の結果,昨年度と同様(1)幼児教育施設の教職員が小学校教員よりもこれらの姿が見られる。(2)非認知的能力に係る項目については幼稚園,こども園の方が保育所(園),小学校よりもこれらの姿が見られる。(3)幼児教育施設も小学校も「自立する姿」については見られる,また,「人と関わる姿」を特に求める姿と考えていることが明らかとなった。 今後の幼保小連携においては,教育学的ドキュメンテーションや統一的な要録を活用することで,子どもの姿を共有していくことの必要性が示唆された。
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