本研究では第一に、1907年にドイツのベルリンに開設された「ドイツ児童保護センター」によって保護の対象と見なされた子どもたちは、虐待やネグレクトの被害者であったり、貧困や病気、障害などによって苦しい生活を強いられていたことが明らかとなった。ただし、同センターは、こうした子どもたちを直接的に保護する役割を果たしていたわけでなく、保護を必要とする子どもたちを選別し、適切な保護団体へとつなぐ役割を果たしていた。 第二に、同センターは、児童保護事業の主な担い手である民間慈善団体や地方行政機関、医療機関(精神医学)と連携を取りながら、児童保護事業を牽引する機能を担っていたことが明らかとなった。
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