過疎地域の中でも65歳以上が50%を超える「限界集落」と呼ばれる地域に住む過疎地域に住む高齢者たちが主体的に地域自治活動を行うために必要となる公民館を中心とした学習環境の整備と、地方行政や他地域とのネットワークを形成するための生涯学習による高齢者学習支援プログラムの開発を行うことを目的としている。 特に、自治体内分権が進むなかで地域高齢者が、地域自治活動を住民や行政、NPОと連携を取る際に、住民全体の意見をすみやかに把握し、共生・協働で行うための学習する組織を作ること目的としたシステムとして「地域づくり提言書」作成について公民館主事を中心として各地域で作成する。地域住民と行政、NPО、 大学が連携を取ることで、高齢者による地域社会の自立促進が一層進むものと考える。しかし、これまでの高齢者の学習支援に関する研究は、都市部の高齢者が中心であり、過疎地域の高齢者の地域づくりを目的とした学習組織についても、地方のなかでも特に過疎地域に住む高齢者に対する具体的な学習環境は整備されていない。ましてや、限界集落という地域自治組織の存続と地域活性という課題に直面している高齢住民への生涯学習支援は急務である。 そこで、限界集落の「地域づくり」に関わる地域高齢者の主体的な学習のあり方を総合的に把握するために、2つの視点で明らかにする。(1)限界集落として〈集落再編〉の問題が顕在化しており、その課題に対応している自治体に着目し、①それぞれの地域づくりで行っている学習課題・学習方法の分析および②学習内容の構造を分析する。 (2)全国の限界集落がこれまで「むらおさめ」という課題に地域高齢者が直面した時の行政対応と地域住民の合意形成についてどのような学習がなされたのか、①歴史的な「むらおさめ」に関する合意形成の変遷と、②各限界集落固有の内在化された地域課題を浮き彫りにすることで、学習支援を促進させる。
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