研究課題/領域番号 |
18K13059
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
中西 さやか 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (40712906)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 主体的な学び / 幼児 / Bildung(ビルドゥング) / 学びの評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児が主体的に学ぶプロセスとそれを支える保育者の役割を明らかにすることを通して、幼児の主体的な学びの質を高める幼児教育モデルを構築することである。本年度は、文献調査をとおして子どもの主体的な学びを捉える視点を生成するための検討を行なった。その実績は以下の2点である。 ①幼児期の学びにかかわる概念の検討:幼児が主体的に学ぶプロセスにかかわる概念として、ドイツの幼児教育学において展開されている「Bildung(ビルドゥング)」概念に着目した検討を行なった。具体的には、「何をどのように学ぶのか」を重視するコンピテンシー志向の幼児教育観との比較考察をとおして、子どもが感覚や思考をとおして自らの世界を形成するプロセスを表わす幼児期のBildung概念の特質を明らかにした。その成果に関して、日本教育学会第77回大会におけるラウンドテーブル「幼児期の学びをどのように『評価』するのか」(2018年8月30日)で話題提供を行なった。 ②幼児期の学びの評価をめぐる議論の整理:日本の幼児教育学における学びの評価をめぐる議論を整理することで、幼児期の学びの評価視点をめぐる課題を明らかにした。具体的には、日本の幼児教育においては、子どもの良さや可能性に着目して一人ひとりの子どもが学ぶプロセスが重視されるとともに、小学校以降の学びとの連続性という視点から幼児期の学びを明確化することが志向されていることを示した。そのような状況を踏まえて今後の学びの評価を考えるにあたっては、学ぶ主体としての子どもの側に起きていることに着目し、幼児の主体的な学びのプロセスを描き出すことが必要であることを明らかにした。その成果に関して、日本保育学会第71回大会(2018年5月12日)で研究発表(「保育・幼児教育における学びの評価論に関する一考察」)を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児の主体的な学びを捉える視点を生成するための検討を実施する、という当初の計画通りに研究が進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の成果を踏まえた上で、幼児の主体的な学びの質を高める保育者の役割を明らかにするための検討を行なう。具体的には、①事例研究、②ドイツ調査を行なう。 ①事例研究: ドイツの文献における先駆的事例および日本の幼稚園(北海道教育大学附属旭川幼稚園)における事例を分析し、主体的な学びを促進する幼児と保育者の応答的なかかわりを概念化する。 ②ドイツ調査:ドイツの保育者養成校や研修機関を訪問し、幼児期の学びの理解や評価がどのように保育者養成や研修に位置づけられているのかについて調査する。特に、幼児期の主体的な学びの理解とその援助方法に焦点をあて、教育プログラムの実際を明らかにする。
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